(IUCN スイス)[2004/3/18]

生物探査は、かなり離れた実際には未開地と言える地域において行われている。その目標は、高度に多様性がある生態系と、ほとんど認知されていない生物種を見出すことである。特に体の柔らかい無脊椎動物が対象となっている。海洋生物、例えばカイメン、ソフト・コーラル、ウミウチワ、ホヤなどは、生物に対し活性のある化合物を探し出す場合、第一に対象となる生物種である。これら生物種は、積極的な防御を行わない代わりに、体の中に化学物質を貯蔵し生活をしている。この貯蔵嚢のおかげで、これらの生物たちは、今後のバイオテクノロジー分野における利用のために探されることとなったのである。

他の生物群に比べ少数である海洋生物から、1万2千もの新薬が創り出されている。生物探査における基本サンプリングで取り出される総量は、全くと言っていいほど明らかにされていない。また、探査にあたりモニタリング調査は行われず、生物種、特に希少特産種の存続を踏まえた原則・基準も定められていない。

このような情報不足によって、自然保護・保全の取り組みが不明確である状況にある。生物探査での海洋資源利用をわかりやすく説明するため、IUCNは案内書"生物的海洋資源を求めて:自然保護のための留意事項と保全への取り組み"を作成した。そこには、既にわかっている問題点や海洋資源利用のうえでの前向きな取り組みについて記載されている。具体的には、バイオテクノロジー技術を用いて作り出される産物、特に新薬開発に焦点を当てたものとなっている。また、自然保護、持続可能な資源利用に関わる検討点についても解説され、海洋生物探索を適切に推進する上でのルール作りが必要であることも強調されている。

生物探査関連の検討点については、"医薬品の将来"分科会において議論される予定である。分科会は、第3回世界自然保護フォーラム(2004年11月18日~19日)の会期中に開催される。そこでの目標は、野生動植物を保護する一方、持続的な可能性を踏まえた、野生動植物を利用するうえでの不可欠な知識、最善の実施・方法を定義することである。それら動植物は、現在世界で使用されている医薬品の様々な原料であり、将来も引き続き人類にとって必要であることに変わりはない。