(IUCN日本委員会 バンコク、タイ)[2004/11/20]

第3回世界自然保護会議の前半のハイライトでもある世界自然保護フォーラムが、11月18日から20日まで、バンコクのシリキット女王記念国際会議場で開催される。この3日間に460ものシンポジウムやワークショップが同時並行で行われる。そのため全貌を一言で伝えることは難しいが簡単に紹介したい。

世界自然保護フォーラムの4つのテーマにそって大会場で、18日午前には開会式、18日午後・19日の午前、午後にはグローバルシンセシスワークショップが行われた。

また中会場では、さまざまな団体によるスポンサードワークショップや自然保護プラットフォームと名付けられたワークショップが行われた。

スポンサードワークショップでは、自然保護助成基金のスポンサーシップによる「ウガンダの湿地保全の地域住民の生計への寄与」など93のワークショップが開かれた。

自然保護プラットフォームでは、日本経団連自然保護協議会による「日本の経済界の自然保護への寄与」など74のワークショップが開かれた。またスミソニアン研究所が主催するトレーニングワークショップでは、自然保護へのGISの活用、環境教育など35のワークショップが行われた。さらにプレスセンターでは、フューチャーダイアログと題して、山岳国立公園ガイドラインの発表などさまざまなプレス発表が続けざまに行われた。

IUCN日本委員会は、地球環境基金の助成金によって、小会場におけるノレッジマーケットプレースという小集会を開催した。これは大きなシンポジウムを開催するような経済的な余裕のないNGOのために、ラウンドテーブルの対話の場を用意し、途上国からの参加者には旅費についても支援するというプログラムであり、3日間に80以上の小集会が開かれた。内容は、アジアにおけるゾウが生息する国の協力、アマゾンの先住民集落と自然保護、気候変動と生活様式、持続可能な開発と環境教育、自然保護団体における若手の専門家の役割など実にさまざまである。ここではジュゴンに関して開かれた2つの小集会を紹介したい。

18日昼には、日本自然保護協会・WWFジャパンによる「ジュゴン保護に関するアジア太平洋のネットワーク」が開かれた。フィリピンのロメオ・トロノ氏から漁網にかかったジュゴンの赤ちゃんの保護の難しさが、タイのカンジャナ・アドリアヌクソル女史からタイにおけるジュゴンの生息状況と行動計画づくりの話題が、ベトナムのキース・スミントン氏からカンボジアとの国境を行き来するジュゴンの生息の話題が提供された。日本からはWWFJの花輪伸一氏から沖縄におけるジュゴンの危機状況、日本自然保護協会の吉田正人から沖縄ジャングサウォッチを通じた市民参加調査の重要性、環境省野生生物課の曽宮和夫氏から国によるジュゴンと藻場の調査結果が発表された。沖縄の辺野古に計画されている普天間飛行場代替施設に関して、各国の参加者から懸念の声があがった。

19日昼には、タイ政府野生生物局と野生生物保護協会の主催で、「人々はジュゴンの守り手かそれとも脅威か?」というタイトルで、タイ南部のトランの住民を招いて、ジュゴンの生存に脅威を与える漁網に関する意見交換が行われた。この地域においてはタイ野生生物保護協会などの教育普及活動によって、ジュゴンの重要性が漁民にも浸透してきており、問題はむしろ漁網による混獲よりも陸地の開発による海草藻場への影響ではないかと感じられた。

自然保護フォーラムは、明日閉幕を迎える(吉田正人・道家哲平 2004.12.13修正)