世界遺産委員会は、来週、南アフリカのダーバンで開かれる第29回会合でいくつもの決議を採択するだろう。

南アフリカ、ダーバンで開かれる世界遺産委員会は、UNESCOの有名な世界遺産リスト(現在、134カ国の788件からなる)に新たな地域を記載するかどうかを検討する。世界自然遺産に関する技術諮問機関であるIUCNが、今回、記載の勧告した自然遺産のほとんどが沿岸・海洋地域の特徴を持っている。

カリフォルニア湾岸、ノルウェーのフィヨルド、日本の知床半島、コイバ国立公園(パナマ)。これらはすべて、顕著な沿岸・海洋地域で、固有種(しばしば絶滅危惧種)の貴重な生息地域となっている。「海洋保護区は、重要な商業魚種資源と絶滅危惧種両方を含んだ、海洋の生物多様性の保護に決定的な役割を持っている」とデビット・シェパードIUCN保護地域プログラム長は語る。

IUCNが世界遺産リストへの記載を勧告したそのほかの地域は、幅広い多様な自然の特性を現すものである。世界最古のかつ最大の隕石落下地点であるフレデフォート・ドーム(南アフリカ)。足を持ち、主に陸上で生活していた今日の海生哺乳類の祖先として知られるクジラの化石が見られる地域ワディ・アル・ヒタン(別名クジラ渓谷)。タイにある巨大な熱帯林と野生生物のサンクチュアリであるドン・パヤヤン・カオヤイ複合林。

1年半にわたって、IUCNは各国によって推薦された22の物件について独立した技術的評価を実施した。現地調査を含む技術評価は国際的な専門家による検討などを通じて実施され、必ずしも全ての物件が世界遺産条約に定められた厳格な基準を満たすわけではなかった。

IUCNは、その価値のみならず自然保護の管理や状態などを綿密に検証し、その保護を改善するための勧告を提供した。

いくつかの世界遺産地域については、その拡張が行われる。固有の高山植物や希少で絶滅のおそれのあるクマ、ユキヒョウ、その他のヒマラヤの哺乳類で有名なフラワーズ渓谷を含めた遺産に拡張されるインドのナンダ・デヴィ国立公園は、そのような例である。

21の締約国からなる世界遺産委員会は、南アフリカで2005年7月10日から17日まで会合を開き、重大な危機が存在する多くの自然遺産の保全状況を検討するとともに、全ての推薦とそれに伴う自然遺産に関するIUCNの評価書を検証する。

〇新規案件の概略

南アフリカ フレデフォート・ドーム

ヨハネスブルクの近くに位置するフレデフォート・ドームは最大級かつ最古(20億2300万年前)の隕石落下の様子を残す場所である。巨大な科学的進化を含めた、圧倒的な地球変動を引き起こすようなエネルギーを放出したことで知られる世界でまさしく唯一のものである。

エジプト ワディ・アル・ヒタン

ワディ・アル・ヒタン(別名クジラ渓谷)は、エジプト西部の砂漠に位置し、初期の(そして今では絶滅してしまった)貴重なムカシクジラ亜目(Archaeoceti、または、archaeocetes)の化石が発見されている。これらは、現代の2つの小型鯨類の亜目(ヒゲクジラ亜目(Mysticeti)とハクジラ亜目(Odontoceti))の祖先である。この化石は、ひとつの大きな進化の物語を表すもので、陸地に暮らす哺乳類というそれまでの生活から、海生哺乳類として移行するクジラの出現という物語が描かれる。この地点で見られるそのような化石の数や集中度、質は、特徴的なものである。

日本 知床

日本の最北東の島、北海道に位置する知床半島は、北半球最南端に発生する季節流氷の形成の影響を大きく受けた莫大な生態系の生産性と、海洋と陸の生態系の相互作用の顕著な見本を示す地域である。知床には、例えばトドやクジラ、サケ科魚類、シマフクロウや多くの渡り鳥など、世界的にも重要な海生・陸生の種が存在する。また、世界できわめて高い水準のヒグマの個体群密度が記録されている地域でもある。

ノルウェー 西ノルウェーフィヨルド、ガイランゲルフィヨルド、ナールオイフィヨルド

ノルウェーの南西部に位置する二つのフィヨルドは、世界最長・最深のものであり、典型的なフィヨルド景観と考えられる。顕著な景観美を有するものの1つでもある。急峻な水晶のような岩壁はノルウェー海から1,400m上流まで続き、海抜500mの地点まで広がっている。ドラマチックな景観は、海底のモレーンや海生哺乳類など、多様な陸・海洋現象によって補完されている。

メキシコ カリフォルニア湾の保護地域と島々


メキシコ北東部、カリフォルニア湾に位置し、244の島嶼と海域で構成されるこの案件は、891の魚類(うち90種が固有種)、世界の海生哺乳類種の約39%、世界の3分の1の海生小型鯨類の生息地となっている。この地域は、地球の海洋で生じる全ての主要な海洋学的プロセスが見られる地域で、種形成観察のための天然の研究所と呼ばれている。

タイ ドン・パヤヤン・カオヤイ複合森林

タイ北東部のドン・パヤヤン・カオヤイ複合森林が広がる起伏のある山岳地域は、112種の哺乳類(テナガザル2種を含む)、392種の鳥類、約200種の両生・は虫類など、800種以上の動物の住処である。これらの種の多くは世界的に見ても希少で絶滅に瀕する種である。この地域は、これらの種の長期的な生存に不可欠な生息地を提供する事のできる熱帯森林生態系である。

パナマ コイバ国立公園

コイバ島および38の小島で構成されるコイバ国立公園は、中央大西洋・チリキ湾に位置する。昨年、IUCNが提案した海洋地域の大幅な拡大勧告に従ったため、遺産リストに記載された。科学研究にとって顕著な自然の研究所であるこの地域は、未だに新しい種が形成されているため、自然保護および世界遺産条約にとっての成功の物語である。この海洋生態系は、760種の魚種、サメ類33種、小型鯨類20種など並外れた生物多様性の宝庫といえるだろう。

インド フラワー渓谷国立公園

ナンダ・デヴィ国立公園の拡張として提案されたこのヒマラヤの地域は、顕著な美しい牧草地、高緯度固有の高山植物で有名で、希少で絶滅のおそれのある、アジアクロクマ、ユキヒョウ、ヒグマ、ブルーシープなどの野生動物種が生息する。IUCNは、この離れた山岳環境については、エコツーリズムの発展が自然保護と社会経済(潜在的利益)に利益を与える事も強調している。

詳細については下記まで
In South Africa:
David Sheppard, IUCN Programme on Protected Areas; Mobile: +41
79 477 2122; www.iucn.org;
Georgina Peard, Mobile: +27 72 771 5136, email: ;
www.iucn.org.

In Switzerland (IUCN Headquarters):
Carolin Karnath, IUCN Media Relations Officer; Tel: +41 22 999
0127; email: ; www.iucn.org.

(IUCN-J)[2005/7/14]

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