ケニヤとタンザニア両国国境に位置する東弧山脈・海岸林には、少なくとも1800もの固有種もしくはそれに近い植物が生育しており、そのため、この地域は世界における植物の宝庫の一つといわれている。

この地域を対象とした初めての植物レッドリストワークショップが、タンザニア国ダル・エス・サラームで、2006年2月27日から3月3日に開催された。このワークショップは、これらの国々に生育する固有種もしくはそれに近い植物の保護状況を評価する第一段階として位置付けられている。

4日間かけて、176分類群がレッドリスト基準で判定され、下記の科に属する種が評価された:ヒユ科Amaranthaceae, ウルシ科Anacardiaceae, ツクバネカズラ科Ancistrocladaceae,バンレイシ科 Annonaceae, セリ科Apiaceae, キョウチクトウ科Apocynaceae, サトイモ科Araceae, ウコギ科Araliaceae, ヤシ科Arecaceae, キク科Asteraceae, カネラ科Canellaceae, パパイヤ科Caricaceae, ウリ科Cucurbitaceae。123属(71%)が、絶滅危惧種(CR 30属、EN 53属、VN 40属)として判定され、さらに12属が準絶滅危惧種NTとして判定された。絶滅危惧種の中には、多数の注目すべきバンレイシ科Annonaceaeの多くの種が含まれている。Sanrafaelia ruffonammari Verd.は、最近記載された属・種であり、東アサムバラ山脈の麓に生息する固有種である。この種は絶滅危惧Ia(CR)と判定された。もう一つのバンレイシ科Annonaceae、Anonidium usambarense R.E. Fr.は、アムサンバラ山脈固有種であるが、1910年にタイプ標本が収集されて以降、精力的な探索にも関わらず発見されていないことから今回絶滅と判定された。

パパイヤ科で唯一判定された種、Cylicomorpha parviflora Urb.は、パパイヤの野生種で高さ25mまで成長し、東弧山地湿性森林における樹帯のギャップに生育する。地域住民はこの果実を収穫しピクルスあるいは砂糖漬けにして食料とし、この木の空洞の幹をミツバチの巣箱として利用している。また、繊維質の樹皮は、たたいて平らに伸ばされ天井用の建材として活用されている。同種は2000m2以下という極めて狭い範囲で確認されていることから、絶滅危惧Ⅰb(EN)と判定された。

ワークショップは、国際自然保護連合(IUCN)により企画、運営され、重要エコシステムパートナーシップ基金(CEPF)により支援を受けた。今回は同基金の全体目標である、ケニア・タンザニア東弧山脈および海岸林の生物多様性ホットスポットにおける植物保全アセスメントへの取り組みの一環として位置づけられている。

このプロジェクトは、IUCN、米国ミズーリ植物園、米国フェアチャイルド熱帯植物園との共催であり、ケニア・タンザニア国立植物標本室との連携のもと、実現したものである。ケニア、タンザニア、英国、米国からの18人の参加者がホットスポットの固有種もしくは固有種と見込まれる1800の植物種のうち、まず200種の判定に取り組んだ。ジョージ・シャッツ氏がIUCNとミズーリ植物園の双方の立場よりワークショップを運営した。地区・地域的調整はIUCNナイロビ事務所のジェフリー・ハワード氏とIUCNタンザニア事務所のアブドウルラハマン・イサ氏によって手際よく行われた。IUCNレッドリストプログラム、クレイグ・ヒルトンーテイラー氏がレッドリストの概念とその評価手法について説明を行った。プロジェクトの総括リーダーのミズーリ植物園ロイ・デリュー氏および、新しく発足した東アフリカ植物レッドリスト・オーソリティーよりケンティン・ルーク氏、IUCN/SSC植物保全副委員会の議長であり、フェアチャイルド熱帯植物園のマイク・マウンダー氏が参画した。

(IUCN/本部)[2006/3/9]