アフリカに生息する2種類のサイ、クロサイとシロサイのほとんどの亜種は、個体数回復のきざしを見せているが、西アフリカ・クロサイ(Diceros bicornis longipes)とキタシロサイ(Ceratotherium simum cottoni)は、この状況に該当していない。西アフリカ・クロサイは、絶滅が危ぶまれており、キタシロサイの野生個体数は史上最低の記録となった。両種の絶滅は、共には、サイの角を目当てとする密猟が主たる原因となっている。

この報告は、IUCN種の保存委員会アフリカ・サイ専門家グループ(AfRSG)が発表した最新の推定によるものである。今年に入って実施された西アフリカ・クロサイ集中調査では、カメルーン北部に唯一あった保護区において、西アフリカ・クロサイが継続的に生息していた痕跡を見つけ出せなかった。

「調査の結果、暫定的ではありますが、この亜種の絶滅が宣言された状況です。」とAfRSC委員長、マーチン・ブルック氏は述べている。また、同氏は以下のように述べている。「キタシロサイについても絶滅の危機に瀕しています。コンゴ共和国ガランバ国立公園にしかいない野生個体も、アフリカ公園基金とAfRSGの指導のもと実施された、最近の地上・航空調査では、わずか4頭しか確認されませんでした。今後も同種の探索を継続していく予定です。ですが、この亜種の個体数は、自然状態では存続可能なレベルまで回復しない可能性を覚悟しなければならない状況です。

良いニュースもある。その他のクロサイ(Diceros bicornis ssp. minor、Diceros bicornis ssp. bicornis、Diceros bicornis ssp. michaeli)の個体数が全体で3,725頭に増加し、1995年当時2,410頭まで減少していた状況と比較して、過去2年で3.2%の上昇となった。また、最も成功した保護政策として、別種のシロサイ、ミナミシロサイの例が挙げられる。100年ほど前に50頭にも満たなかったが、現在では14,540頭まで増加している。

スワジーランド・ヌヴェンヤマ王、ムスワティ王の提唱のもと、スワジーランド王国、ムリルウェイ野生生物保護区で開催された(イギリス環境、食料農村省(DEFRA)の後援を受けた)会議において、AfRSGはサイ類に関する保護管理の知見や再導入技術について、意見交換し、また幅広い様々な点について議論を行った。進展した動きとして、サイ類を保護管理する上での協同を西アフリカ諸国間で推進するグループを創設しようという動き、サイの再導入を行う上での環境に適応させるガイドラインの策定、AfRSGがサイ類の現状や違法取引の報告書をワシントン条約(CITES)事務局へ提出できるよう、サイの生息国となっているアフリカ諸国からの膨大な資料提供がおこなわれたことなどが挙げられる。

サイの角の密猟は、依然としてサイ類にとって脅威となっている。密猟が原因で、2003年以降キタシロサイが著しく減少している。サイやゾウは、保護策が弱まると一番に被害を受ける生物種であることは、わかりきったことであり、また経済的・政治的に不安定な状況では特にその傾向が強い。

マーチン・ブルック氏は、以下のように述べている。「保護政策予算が縮小している状況下で、2つの公益民間パートナーシップが、北ルアンガ、ザンビア、フラズルナタル、南アフリカ等諸国のサイの個体群を遺伝学的に生存可能な状態まで増加させることをめざし、組織的支援と多大な資金提供を行おうとすることはすばらしいことです。一方、このような積極的な動きは必ずしも、いつでも可能であるわけではありません。つまり、アフリカ諸国は、自国の資力と該当生物種の分布・個体数が減少しないことを前提として、これら生物種と生息地を地域経済に共存させていくことを目指し、努力していく必要があるのです。」
(IUCN/本部)[2006/7/7]