10月20日(木) IUCN-Jセミナー第2弾 「IUCNアジア地域自然保護フォーラム参加報告―アジアの現状と、COP10後の生物多様性政策の行方」 が日本自然保護協会会議室にて行われました。

報告会で報告された内容は以下のとおりです。

1 フォーラムの概要報告

今回のアジア地域自然保護フォーラムでは, IUCN及びIUCNアジアの今後4年間の4ヵ年計画が検討された他,リオ+20に向けて「グリーンエコノミー」の具体的な内容について議論がされまし た。4ヵ年計画においては、生物多様性の保全に加え、価値づけ(価値を広く理解してもらう(Valuing)が強調されていること、食料安全保障のための 生態系管理といった社会的な要素も押し出していく方針に転換していきたいとのことでした。

(フォーラムの概容報告の詳細はこちら(PDF)

2  日本からの参加者の活動報告

・公式セッション3:「生物多様性の尊重と保全」参加報告

このセッションでは,COP10の成果である戦略計画とその中の愛知ターゲットが,アジア地域の活動をどのように形づけるか,そして,それらをどのように インドにつなげていくかというテーマが検討されました。また、インドや韓国等、アジア各国が行っている活動についての発表等がありました。日本の環境省か らは,COP10の成果や里山イニシアティブについての報告が行われました。

愛知ターゲットをもっと世界に普及させる必要を感じたとのことです。

・インドのNGOとの個別会合

フォーラムの合間に,IUCN-JとインドのNGOとの個別会合を行いました。インドのNGOの方は,日本のNGOの取り組みに大変関心をもっていただい たようでした。日本がCOP10に向けて行ったのと同様に、COPとは何か、市民がどのようにかかわれるのかなどを学んでいくセミナーを企画しているそう です。11月に開催されるIUCN理事会の合間に行われる特別セミナーでの報告を依頼されました。

・サイドイベント

日本主催のサイドイベントでは,「にじゅうまるプロジェクト」の紹介や日本の震災に関する報告を行いました。3.11の震災による津波の被害や被災地の状況については,写真などの展示をしながら報告しました。

・その他

韓国が世界遺産登録を目指している干潟地域のエクスカーションの様子などが紹介され、干潟地域を単に自然が豊かな場所と捉えるだけではなく、「癒し」「スローライフの実体験」の場として打ち出そうとしている取り組みなどが報告されました。

3 サイドイベント参加報告

フォーラム会場で同時開催されたサイドイベントに参加したIUCNメンバーの方から,サイドイベントについて報告をしていただきました。

(1)サイドイベント報告1

「アジア地域各国の沿岸に広がる湿地を食料確保と生物多様性保全のために管理する」 企画:IUCN MMF (Mangrove for Future), Dr Donald Macintosh

マングローブの面積拡大を目指し,マングローブの移植などを行っている活動の報告がされたそうです。マングローブの面積拡大のみに焦点をあてる事例が多 く、マングローブやそこに生息する小魚、小動物などもう少し総合的な視点のモニタリングを取り入れた方が良いとの印象を受けたとのこと。

また、各国の取り組みが,生物多様性保全,食料確保,貧困減少,レクレーション/教育,気候変動のうちのどれに重点を置いた企画なのかを分析が行われた (日本は,生物多様性 保全とレクレーション/教育に重点を置いているとの評価で,発展途上の国ほど,食料確保や貧困減少により重点を置いていると評価さ れた)。

(2)サイドイベント報告2

「アジア式の持続可能な海洋資源管理区域の可能性について」

企画:バードライフアジア,自然環境研究センター,IUCN(WCPA-Marine, TILCEPA-Marine

愛知ターゲットの6(持続可能な漁業)と11(海洋保護区の設置)を視野にいれた企画で、海洋保護区と持続可能な漁業の両立可能性等について議論された。

(3) サイドイベント報告3

“LOVE, Not Loss”  企画:IUCN-CEC

「自然を失う」というネガティブメッセージから,「自然を愛する」というポジティブメッセージに転換してはどうかという取り組み事例を題材にメディアとの 関係を議論するイベントであったそうです。今後のジャーナリズムのあり方や,ジャーナリズムの外側からの情報発信の必要性等について参加者を巻き込んだ議 論が展開された。

(4) サイドイベント報告4

パキスタンの製糖工場による公害問題

工場による公害問題をめぐり,地域内で労働者と工場側が対立しているが,労働者としても 生活していく必要があるので,単純に工場の廃止を訴えることもで きず,複雑な状況にあるとのことだった。その中で多様な主体が参加する協議会をどう動かしていくかという事例の報告が行われたとのことです。

フォーラムで使用されたプレゼンテーションが現在PDFで公開されています。(IUCNウェブサイトへのリンク、英語)

ご報告をいただいた参加者のみなさま,ありがとうございました。


報告者:道家哲平(日本自然保護協会,IUCN-J事務局),莇智子(IUCN-Jインターン)