絶滅危惧種をはじめ、世界の生物種の生息状況をまとめたIUCNレッドリストの最新版が、ハイレベル会合を控えた生物多様性条約第11回締約国会議(CBD・COP11)の場で発表された。17日に出されたプレスリリースでは、霊長類の楽園マダガスカルのヤシの83%が絶滅の危機にあるとして、保全の重要性を強く訴えている。ニュース本文はこちら<英語>

IUCNレッドリストは、IUCNがNGOや研究機関、専門家グループで知られる「IUCN種の保存委員会」などの協力を得て、毎年、2−3回更新をしているもので、今回の更新は「RIO+20」(ブラジル・リオデジャネイロ、2012年6月20日-22日開催)で行われたものに続き、今年2回目となる。IUCNレッドリストは世界の生物種の情報をまとめたデータベースとして権威があり、2010年に愛知県名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(CBD・COP10)で採択された「愛知ターゲット」の目標12「絶滅危惧種の絶滅回避と回復」の成果をはかる上で、貴重な情報源となる。

最新のレッドリストによると、生息分布状況を調べたのは65,518種(地球上には、これまで約175万種の生物が確認されている)。そのうち、絶滅危惧種(絶滅危惧ⅠA類(CR)、絶滅危惧ⅠB類(EN)、絶滅危惧ⅠⅠ類(VU))は、20,219種となった。今年6月のRIO+20で発表された数字(19,817種)と比較すると、新たに402種が「絶滅危惧種」に指定されたことになる(絶滅危惧ⅠA類(CR)141、絶滅危惧ⅠB類(EN)153、絶滅危惧Ⅱ類(VU)108)。

IUCNの発表によると、マダガスカルに生育するヤシ192種のすべてが固有種であり、マダガスカルの地域住民にとっては、建材として用いたり、その実を食材としても活用するなど、生きていく上で欠かせないものだ。ヤシの中には一カ所でしか生息が確認できないもの、野生下では成熟した個体がわずかに30しかないものもある。IUCN生物多様性保全グループのディレクターであるジェーン・スマート博士によると「この現状は無視できないものであり、ヤシを失うことによる影響は、この島の生物多様性にとっても、そこに暮らす人々にとっても危機的事態となることだろう」と警告する。

今回のレッドリストの更新には、オオウミウマ(Hippocampus kelloggi 体長25cmにもなるタツノオトシゴの一種)のように情報不足から絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されるなど評価が変わった種や、タイメン(Hucho taimen 淡水魚イトウの一種)のように絶滅危惧Ⅱ類(VU)に新たに指定されたものがある。

現地で行われた記者会見では、自然保護は効果があり(Conservation Work)、このインド・ハイデラバードで行われているCBD-COP11で強い政策決定が必要だろうと強調した。

報告 (財)日本自然保護協会 道家哲平