大阪の水族館「海遊館」で、ミナミイワトビペンギンのヒナが孵ったというニュースがあったようで、昨日の事務局はメディアの方から問い合わせをよく頂きました。そんな中、事務局でも少しミナミイワトビペンギンのIUCNレッドリストの評価内容を調べてみましたので、ご紹介致します。
(出典:http://www.iucnredlist.org/details/22735250/0

IUCNレッドリストでは、ミナミイワトビペンギンはVU(絶滅危惧Ⅱ類)として評価がされています。このVU(絶滅危惧Ⅱ類)は、絶滅危惧種の中の上から3番目のカテゴリーになっていて、絶滅の危険が増大している種でもあります。そして現在の減少の原因がそのまま無くならない場合、近い将来「絶滅危惧I類」のランクに移行することが確実とも考えられている、早めの保全対策が望まれている種でもあります。

IUCNレッドリストの表

 

しかしここで問題があります。実はミナミイワトビペンギンの近年の個体数の減少の原因はよくわかっていないそうなのです。減少の原因がわかっていない、ということは原因がわかっているよりも深刻です。わからないものを止めることは出来ないのですから。そもそも、ミナミイワトビペンギンはアルゼンチン、チリ、フォークランド諸島、ハード島とマクドナルド諸島、ニュージーランド、南アフリカを原産として、現在ではオーストラリア、フランス領南方・南極地域、ウルグアイにも生息しています。実は氷の上で過ごしているのではなく、土が出ているような環境で暮らしているペンギンです。

 

現在は世界で123万つがい程度がいるという調査結果(Birdlife International 2010)が報告されていますが、この数は30年間で30.8%も減少した結果の数字でもあります。1950年代には、フォークランド諸島を含むいくつかの生息域で卵を取ることがよく行われていたそうですが、現在では禁止されています。またペンギン自体がカニ漁の餌とされ、カニ漁の漁師に狩られているエリアもあったそうです。現状では、しっかりとした保全がされておらず、人間が行きやすい生息地では、動物園の展示のための捕獲もあるそうです。また、ヤギやシカ、ウサギの過放牧のために、植生が減少してしまい、それが原因で起こる地滑りが原因で数が減少している地域もあるとされています。それ以外にも気候変動や、石油汚染も減少の原因としてあげられていました。

 

このような中でのミナミイワトビペンギンの孵化は嬉しいニュースです。実は今回のヒナは、世界で初めて人工繁殖に成功したミナミイワトビペンギンになるのではないかとされています。(今後、DNA検査を行い、人工繁殖によるものと判明すれば、世界初の成功となるとのことです。)このような繁殖方法の確立はとても喜ぶべきニュースではありますが、同時に生息域の保全や更なる研究の推進が求められてることには変わりまりません。これからもより具体的な保全活動の促進が期待されます。

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