国家間にまたがる国境地域は、人里離れた山岳地帯や、渓谷や、海洋地域や砂漠など、生物多様性に富んだ地域である場合が少なくありません。このような国境地域を保護地域として設立することは、生物多様性を保護するだけでなく、両国の(とりわけ領域紛争のある国同士)協力関係を築く有力な手段になるという概念が出てきています。もちろん、保護地域の設立がそれ自体で紛争を解決するわけではありませんが、保護地域が解決策の一部を占めることは可能です。例えば、ペルーとエクアドル間の国境論争を解決する条約は、「平和公園」の準備を含んでいます。さらに、中東の平和に関するワイ協議も保護地域設立に関する内容を含んでいます。

1997年9月に、IUCNは、南アフリカにおいて平和公園財団と共に組織した、「平和公園」に関する会議を開催しました。この会議と、後にイタリアで開催された会議において、IUCNの世界保護地域委員会は環境法委員会と共に平時並びに戦時における境界にまたがる保護地域に関する運営規則の案文と、管理ガイドラインを作成しました。これは今や、環境と安全保障に関するIUCNのイニシアチブの一部として、コスタリカにある平和に関する国連大学、平和公園財団、WWFとの共同による'平和のための公園'プログラムへと拡大されています。

国境に沿った保護地域の数は、1990年代には、ほぼ2倍になっています。もちろん多くは争いのない地域にあります。国境の両方にまたがる保護地域は、安全保障を確立する便利なものさしであり、多くのレベルで協力とコミュニケーションを促進します。国境はしばしば自然の境界であり、両側にある保護地域が効果的な自然保護のために必要とされます。1997年のWCMCとWCPAによる研究によれば、世界には、48の独立した平和公園と112の国境からなる 136の国境をまたぐ保護地域があることがわかっています。平和公園並びに国境公園は、自然保護と人道的配慮につながり、境界の向こうにある真の利益-すなわち世界平和に貢献する重要な価値を持つものです。