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COP16.2の二日目の本会議では、まず、前日の夜に開催されたインフォーマル協議の報告が行われました。議長曰く「建設的な協議で、各国のポジションやその立場をとるにいたった背景の理解を含めて話し合い、何がポジションに影響を与えるかという深い理解を行った」とのことです。現文書の修正版を夕方に発表し、夜19時半からその内容を本会議で議論する予定とのことが報告されました。
その後、クレデンシャル(政府が正式に会合に参加していることを確認するための手続き)の状況が確認されました。
その後、地球環境ファシリティ―関連で、かつ、資源動員と連動してない項目や、指標に関する宿題、報告枠組みに関する未解決課題の議論を行いました。ただ、地球環境ファシリティーの議論の途中で、コンゴ民主共和国が、“正式に”議題変更を求める要請を行い、1時間ほど会議が止まるなど、なぜこのタイミングで遅延するのかよくわからない動きも発生し、時間を消費をしました。
少し長めの休憩を取ったのち、17時半に早まった会議は、文書の提示が結局遅れ、予定通り19時半ころから、2回目の本会議が始まりました。(コンゴ民主共和国の動きによって、2時間早めたから予定の19時半に始まったのかもしれません。そんな高度な駆け引きはないと思いますが)
26日の2回目の本会議直前に公開された資源動員文書の修正版(L34.rev1)を基に「初見の意見」を求められました。多くの国が文書の分析に時間が必要との意見や地域協議が必要との意見を述べつつ、意見が出されました。
初見の印象を発表した国の意見を聞く限りは、欧州各国からは、十分に意欲的で、着陸点に近づいているという意見であったように思います。中南米や小島しょ国もコンセンサスの模索に向けて歓迎する立場で、アフリカ諸国は(地域協議が必要と繰り返しつつ)必要な資金手段が出来上がるのが遅すぎるという意見が多かったように思います。一番強硬で否定的だったのはコンゴ共和国でした。後、文章を修正しすぎた中で、資源動員戦略が付属書1についているのですが、本体決定の中にどこにも言葉がないという指摘がありました。
最終的には、議長が、最終日の朝に地域協議を行い、明日午前の本会議でインプットをすることを求めました。最終日も長くなりそうです。
議論の初期的評価として。
2030年までの資金拡大努力をしつつ、配分メカニズムである資金構造の改善をしつつ、条約の管理下にある資金手段を構築するという現状の案は良い落としどころのように思います。
途上国の「条約下の基金がなければ生物多様性が失われる」というのは疑問で、基金にお金を出す国か機関がないと意味がありません。新たな基金が必要というために、既存の基金の課題を強調する必要があるとはいえ、COP15でGBF基金をせっかく作ったのに、GEFの下にあるというだけで批判の一部になると、GBFのための資金は、どこに入れるのが適切だろうか、供出して喜んでもらえる基金がどこにもないのではと誤解されるような議論が展開されているようにも見えます。
さて、要の議長案のポイントである段落19の仮訳は
19.生物多様性のグローバルな資金を強化し、2030年までに第21条を完全に実施するため、以下を行うことを決定する:
(a) あらゆる資金源からの資金動員を評価し、改善すること、
(b) 既存の手段のパフォーマンスを評価し、改善すること;
(c)第19回会合で完全な運用を達成するために、生物多様性ファイナンスのための専用のグローバルな手段、または手段のセットを指定または確立すること、
(d) 条約第21条に従い、条約の資金メカニズムの運営組織の指定または確認について、第18回会合で結論を出すこと;
という案で、2030年に手段また手段のセットが完全に動き出す(Fully Operationalize)という案になっています。
国際自然保護連合日本委員会 事務局長 道家哲平