SBI4二日目、国際生物多様性の日の5月22日は、午前の本会議で、議題3の計画・モニタリング・報告・レビュー(PMRR:Planing, Monitoring, Reporting, Review)に関するオブザーバーの発言の後、議題4Aの資源動員を行い、午後に議題4Bの資金メカニズム、議題5の能力養成、技術・科学協力、クリアリン グ・ハウス・メカニズム、知識管理(Capacity-building and development, technical and scientific cooperation, and technology transfer, clearing-house mechanism and knowledge management)の途中までを扱いました。
資源動員
資源動員の議題4には、資源動員(4A)と資金メカニズム(地球環境ファシリティ―への助言。4B)の二つに分かれます。
資源動員(4A)の議題は、2025-2030年の間の資源動員戦略(付属書1)、既存資金の強化や改革のための行動リスト(付属書2)、生物多様性に関する新たな資金の仕組みを議論するための要素(付属書3)という3つの文書がついています。生物多様性プランの目標19には、資源増と、資金の有効活用、新たな資金増の仕組み、非資金的資源の拡大などの方向があります。参考情報にある、生物多様性資金の景観(Exploration of the biodiversity finance landscape)が、目標19の各要素に関係する世界の動向をまとめています。
- 締約国の発言をざっくりと分類すると、
資源拡大は十分か?:資源拡大の中間目標である2025年までに200億ドルが達成の途にあるという認識の先進国と、不十分であるとする途上国
GBFFに加え更なる基金の検討が必要か?:GBFファンドという専用の新たな資金が設立したが、更なる基金の議論が必要とする途上国と、GBFファンドへのさらなる供出を求めつつ、新たな基金の議論は尚早とする先進国
といった意見の違いが見られました。
一方、資源動員に関する専門家会合の取組みやその成果である資源動員戦略2025-2030については、概ね支持する意見が出ていました。また、生物多様性に負の影響を持つフロー(7兆ドル/年。State of Nature Finace(UNEP 2023) )やその一環である生物多様性に悪影響に働く補助金の改革が必要という主張も概ね共通していたと思います。
資源動員のための新たな手法として、生物多様性クレジット(証書)や、自然に関する国債交換(Debt for Nature Swap)などについては、NGOからは批判的な意見も出ていました。
国際生物多様性の日 共に未来を
1992年5月22日、会場でもあるUNEPにて、生物多様性条約交渉が完了し、条約本文が完成(採択)しました。これを記念し、5月22日は「国政生物多様性の日」として毎年テーマが設けられ、集中的に生物多様性のイベントやメッセージを発信することが呼びかけられています。今年のテーマは「Be Part of the Plan(共に未来を)」です。
会場では、記念式典が開かれ、生物多様性の日を祝うスピーチが行われ、その後、懇親会のような時間が設けられました。
国際自然保護連合日本委員会 事務局長 道家哲平
*今回の国際情報収集・発信業務は、経団連自然保護基金、地球環境基金の助成、ならびに、IUCN-Jへのご寄付を基に実施しています。このような情報発信を継続するためにも、IUCN-Jの活動へのご寄付をお願いします