RCF Asia2日目、9月4日の午前9時から「種に関する取り組み」と「水と湿地」の2つのセパレートセッションが設けられました。
今回は「種に関する取り組み」と同時並行で進行された「水と湿地」のセッションについて紹介します。このセッションでは水域生態系のなかでも淡水の水辺と湿地の生態系について焦点が当てられていました。セッションはまず現在アジア地域が抱えている問題やそれに対する取り組みについて共有することから始まりました。その後、4人が登壇し、自身の活動をそれぞれ紹介し、アジア地域がすべきことや向かうべき方向についてディスカッションを行いました。
淡水生態系は最も人の悪影響を受けて危機に瀕しており、過去50年間で世界の湿地は森林の2倍の速度で失われています。さらに湿地の損失に伴って淡水生物の生息地の劣化、損失が起こっています。これらは洪水や気候変動等が原因であったり、汚染や農業分野での水の利用に関する法やレギュレーションが十分に整備されていないことが原因であったりします。よって早急にこの問題に取り掛かることが求められています。
セッションではIUCNが行っている取り組みの1つとしてフレッシュウォーターチャレンジ(FWC)が紹介されました。FWCは30万キロメートルの劣化した河川と3億5000万ヘクタールの劣化した湿地の修復を加速、促進、実証し、2030年までに淡水生態系を保護することを目的とした取り組みです。これは国が主導しており、金融や国家間の協力、より多くの国、人々が参加するためのサポートについても定められています。
アジア地域にはガンジス川やメコン川などの大きな国際河川があるため、水の使用や漁業が引き起こす悪影響を減らし、淡水生態系を保護するには国家間の協働が不可欠です。しかしアジア地域ではネパール、カンボジア、パキスタンしかFWCに参加できていません。よってFWCにより多くの国が参加することが求められました。
後半のディスカッションではアジア地域で湿地と淡水生態系の保全について活動している4名が登壇し、アジア地域がこれから求められていること、目指すべき方向について話し合いました。特に湿地や淡水生態系が守るべきだという価値観が普及しておらず、湿地帯や淡水生態系が持つ資源や価値を伝える必要があるということ強調されていました。またユースの参画の重要性や各地域で育まれてきた伝統的な自然保護の知恵を受け継いでいくことの必要性についても話し合われました。
このセッションを通じて湿地と淡水生態系の保護の重要性やアジア地域の現状について再認識することができました。国際河川が流れている国家間には河川の利用について国境を超えた問題や課題があり、国際河川がない日本では聞かない話ばかりだったので特に印象に残りました。後半のディスカッションで登壇した4名の中の1人にユースがおり、その人は南アジアの人口の半分はユースに該当する年齢の人であり、パッションはあるが知識や活動する機会がないという現状について話してくれました。その話の中で日本のユースと共通する問題としない問題があり、これまで日本でユースとして活動してきたものとは異なる新しい視点を得ることができました。
一般社団法人Change Our Next Decade
多計和真