COP16の3日目が終わりました。早朝会場は物凄い豪雨に見舞われ、渋滞やびしょびしょに濡れながら会場に入る人がいました。
第1作業部会は基本生物多様性条約全体にかかる事項を扱い、第2作業部会はテーマ別の課題や名古屋議定書・カルタヘナ議定書などにおけるテーマを扱うことになっています。第2作業部会は、他の重要議題に集中するため、非常に速いスピードで会議文書が作成されています。第1作業部会は初日に開いた以降は、コンタクトグループでの議論を中心に展開されています。
コンタクトグループは、海洋、健康、気候変動、能力養成が続けられてきましたが、そのうち健康の議題は文書のほぼ合意に至っていますが、海洋・気候変動はまだ続いています。海洋は、重要海域の特定や改定に関する件はほぼまとまり、今後取り組むべき事項の一覧の検証が残っています。
第1作業部会下のコンタクトグループは、DSI、8(j)、資源動員などで、はほぼ毎日開催され、合意には至ってないもの意見交換が進んでいます。注目議題の最後の一つ、指標や報告枠組みのコンタクトグループは木曜日に開催予定です。
8(J)は、常設機関化の議論はあまりされず、行動計画の精査(行動計画に優先度をつけるかどうか)や、アフリカ系コミュニティ(Afro-Descendent)という概念を入れるかどうか等に議論が集まっています。
DSIは、多国間メカニズムの実現に向けたあり方(Modality)をまとめる予定ですが、いくつもの論点で、互いの立場の理解を進めている様相です。下記のような論点が議論されています。
- デジタル情報への何(「アクセス」「利用」「商業化」「特定利用に限らない手法」)を共有の仕組みの起点(Trigger point)とするか?
- 企業・産業を特定するか否か?
- 企業からの支払い方法の選択肢(DSIデータへの利用料(サブスク/利用毎)、製品への支払い、収入・収益を元に算出、製品範囲、自発的な寄付)
- 多国間資金メカニズムは誰が利用するか、誰が活用の優先度を決めるのか、プロジェクトに払うか、一定配分を決めるか?先住民地域共同体も、資金を使って保全や持続可能な利用の推進を進められるようにしようという意見や、資金の20%を配分しよう等の意見が出されています。(合意されているわけではありません)
- 多国間資金メカニズムのガバナンス(事務局or独立)、締約国の関り、民間セクターとの関り?
- 企業への支払いに関する国内法制度との整合対象・手法・活用方法等、公正・衡平・透明で現実的な制度は何か
- DSIが公開で自由なDBであることの価値を毀損しない方法
国際自然保護連合日本委員会 事務局長 道家哲平