生物多様性の損失を止め、反転させ、回復を実現するいわゆる「ネイチャーポジティブ」をめざすために生物多様性世界枠組みのターゲット15「ビジネスの真ん中で取り組もう。」などが合意され、世界では、TNFDを始めとする企業や金融機関の生物多様性の依存や影響、リスクや機会の開示を行う動きが生まれています。

しかし、現在のTNFD開示枠組みでは、重要な開示対象となるグローバルコア指標において、「自然の状態(State of Nature)」は”仮置き”という状態で保留されていて、企業が生物多様性を保全しようとする努力の成果を測る共通の指標が設定されていない状態でした。

このような背景を受けて、NGOや企業・金融グループ、自治体等からなる「Nature Positive Initiative(NPI)」では、「自然の状態(State of Nature)」を計測する最小限の考え方の共通化の作業を進めており、企業向けのパイロット募集が3月3日に発表予定です。

今回のセミナーでは、NPI事務局長のギャビン・エドワーズ氏をオンラインでつなぎ、「自然の状態(State of Nature)」とは何か、その開発状況等を伺うとともに、日本で本分野を引っ張っているリーダーたちが質問をぶつけ、企業や金融機関はじめ、NGOや自治体等の視点から、「自然の状態(State of Nature)」を測定する手法の意義と課題を整理して理解する機会を提供します。

※COP16で発表された素案に対してのコメントを反映させたものが1月18日にリリースされました。リリース内では、現在のパイロット用指標案も見ることができます。セミナーでの理解を深めていただくため予習をおすすめします。


<イベント詳細>

日程:3月4日(火) 19時から21時 開場:18時 *イベントの前後で交流の機会あり

形態:ズームウェビナーと会場を用いたハイブリッド開催

対面会場:METoA銀座 *対面会場:定員40名まで。席に限りがございます。

参加方法:参加無料、事前登録制、登録はこちら(Peatixの登録画面が立ち上がります)
*基本参加無料ですが、ご寄付をいただけますと幸いです。IUCN-Jでは、国際情報発信並びに将来世代参画に力を入れており、より有益な情報を皆様にお届けし、多くの将来世代へ機会をお届けするために活用させていただきます。

申し込み期限:2025/03/04 0:00:00
コンビニ / ATM でご寄付をお支払いの場合は、2025/03/03までにお申し込みをお願いいたします。

言語:日英・同時通訳 *対面会場は基本日本語で実施いたします。

 

主催:国際自然保護連合日本委員会、日本自然保護協会、経団連自然保護協議会、企業と生物多様性イニシアティブ、TNFD日本協議会、イクレイ日本、国立環境研究所、東北大学 ネイチャーポジティブ発展社会実現拠点(NP拠点)、日本生態学会生態系管理委員会

協賛:三菱電機

協力:PwCコンサルティング、日経ESG

 

<プログラム>

  1. 司会進行:道家哲平
  2. 開会挨拶:
  3. 協賛挨拶:
  4. 講演:State of Natureについて
    Nature positive Initiative事務局長 ギャビン・エドワーズ氏
  5. 専門家によるQ&Aセッション
  6. 会場・オンラインからの質疑応答
  7. クロージング

 

<登壇者

ネイチャーポジティブイニシアティブ 事務局長 ギャビン・エドワーズ

IUCN Leaders Forum - Gavin Edwards

WWFインターナショナルのネイチャー・ポジティブ・イニシアティブのエグゼクティブ・ディレクターを5年間務め、以前はWWF香港の保護ディレクターを担当。グリーンピースインターナショナルで森林保護キャンペーンや気候・エネルギーキャンペーンを指揮。大規模な環境保護の成功事例に関与し、企業と連携して持続可能な供給チェーンの確保に貢献。

<リードコメンテーター>

一般社団法人 企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)事務局長・理事 足立直樹(あだちなおき)

東京大学理学部、同大学院で植物生態学を専攻、博士(理学)。国立環境研究所、マレーシア森林研究所を経て独立し、株式会社レスポンスアビリティの代表取締役。多くの企業に対して持続可能なサプライチェーンの構築をはじめ、サステナブル経営の実践を指導して来た。こうした活動を通じて企業価値を高めるサステナブル・ブランディングの推進に力を入れている。環境省をはじめ、農水省、消費者庁等の委員も数多く務める。

PwCコンサルティング合同会社 シニアマネージャー 服部徹(はっとりてつ)

服部 徹

大手電機企業・外資系SIerのAIコンサルタント等を経て、PwCに入社。PwCコンサルティングでは、生物多様性・ネイチャーポジティブをリーダーとして担当し、生物多様性・ネイチャーポジティブ分野のビジネスコンサルティングを実施。2030年までに日本経済社会を「ネイチャーポジティブ」に移行することに、全力を注いでいる。東北大学 環境科学研究科 高度環境政策・技術マネジメント 人材養成ユニット修了(修士)、生物多様性・環境ビジネス分野での20年のNGO活動歴がある。

TNFDタスクフォースメンバー 原口真(はらぐちまこと)

原口 真のプロフィール | Japan Innovation Review powered by JBpress

MS&ADインシュアランスグループホールディングス サステナビリティ推進部 TNFD専任SVP/MS&ADインターリスク総研 基礎研究部 基礎研究グループ 上席フェロー/自然再興触媒人(Nature Positive Catalyst)環境省の次期生物多様性国家戦略研究会委員やネイチャーポジティブ経済研究会委員など、官公庁の委員を歴任。

TNFDタスクフォースメンバー 秀島弘高(ひでしまひろたか)

農林中央金庫 エグゼクティブ・アドバイザー
経歴:1989年日本銀行入行、2021年4月~現職。日銀ではバーゼル銀行監督委員会関連事務に通算15年間従事。バーゼル委員会事務局への出向、主要部会の共同議長、バーゼル委員会日本代表等を歴任。
書籍:「バーゼル委員会の舞台裏」(きんざい、2021年5月)

東北大学グリーン未来創造機構・大学院生命科学研究科教授 / 日経ESGシニアエディター 藤田香(ふじたかおり)

富山県魚津市生まれ。東京大学理学部物理学科卒、日経BPにて、日経エレクトロニクス記者、ナショナルジオグラフィック日本版副編集長、日経ESG経営フォーラムプロデューサー、日経ESGシニアエディターなどを歴任。企業と生物多様性や、ビジネスと人権、地方創生などが専門。東北大学 ネイチャーポジティブ発展社会実現拠点(NP拠点)の副拠点長。環境省中央環境審議会委員。著書に「ESGとTNFD時代のイチから分かる生物多様性・ネイチャーポジティブ経営」など。

一般社団法人イクレイ日本 事務局長 内田東吾(うちだとうご)

2006年5月に国際協力銀行(JBIC)に入行。専門調査員として世界銀行、アジア開発銀行などの国際機関のほか、韓国・中国・タイなどの援助機関との連携業務に携わる。

2009年4月から国際協力機構(JICA)の企画調査員としてタイに3年、カンボジアに5年勤務。環境・気候変動分野の国際協力事業を担当し、環境公害対策、気候変動対策のほか、都市の環境インフラ支援事業に従事。2017年7月に(公財)地球環境戦略研究機関(IGES)に入所、ASEAN各国都市のSDGs推進事業を担当。2018年7月より現職。

経団連自然保護協議会 事務局次長 大嶋優佳(おおしまゆか)

2023年4月より現職。損害保険会社から出向し、日本企業のネイチャーポジティブ経営を推進。現在は、生物多様性分野で世界をリードする国際NGO、国連機関、国際ビジネス団体との共同企画を主に担当し、同協議会で最大規模のミッション団を派遣したCBD COP16における全体企画・運営も務めた。損害保険会社勤務時代は、海外駐在期間も含めグローバル保険事業に12年携わり、マーケティング、経営管理、プロジェクトマネジメント等に従事。

国立環境研究所 生物多様性領域 角谷拓(かどやたく)

国立環境研究所 生物多様性領域 生物多様性評価・予測研究室。広域スケールでの生物多様性の現状の推定と将来予測に関する研究に取り組む。特に、多面的・多層的な生物多様性の評価をおこなうために必要な指標の開発や、経済的・社会的条件などの現実性を考慮しながら生物多様性保全のための効率的な対策を立案・実施する(Systematic conservation planning)ために必要な手法や枠組みの開発と実証を行う。

日本自然保護協会/日本生態学会生態系管理専門委員会 高川晋一(たかがわしんいち)

(公財)日本自然保護協会 ネイチャーポジティブタスクフォース主任。2006年より現職。市民を主体にした全国規模の自然環境モニタリング調査や、全国の自然観察指導員の活動支援・養成、里山の保護問題・保全活動の支援を担当してきた。専門は保全生態学、生物多様性評価、市民科学、環境教育。

持続可能な社会に向けたジャパンユースプラットフォーム 遠山未来(とおやまはるか)

2021年に持続可能な社会に向けたジャパンユースプラットフォーム(JYPS)事務局に入局し、主に環境分野のアドボカシー活動に従事。2022年から日本版気候若者会議運営事務局員。2021年から環境省主導の生物多様性実現日本会議の企画委員。2023年のCOP28と2024年COP29に現地参加し、パビリオンにて登壇。個人では、Green Innovator Academy3期生として沖縄県与那原町に対し政策提言を実施。