SBI4の4日目となる5月24日は、午前に、協力(議題7)、主流化(議題10)、条約運営の効率化(議題8)を行い、午後と夜(7時半)は2つずつコンタクトグループを行いました(オブザーバーからは、「コンタクトグループマラソンが始まった!」という一言も)。コンタクトグループは、計画・モニタリング・報告・レビュー(PMRR)と能力養成、科学技術協力、技術移転、伝統知識(CB,TSC,TC,TK)、を午後に、夜に、資源動員が行われました。
本日で、9日間スケジュールされていたSBIの折り返しとなります。しかし、読み合わせ(ファーストリード)が終わってない議題も残っているなど、時間的には折り返しですが、目指すゴールの中間かといわれるとかなり遠いところにいると言わなければなりません。
25日は休日となって、26日の日曜日から水曜日までコンタクトグループマラソン(1~2人しか代表が来てない国からすると、テーマが異なる議論を駆け抜けるのでトライアスロンに近い過酷なレースかもしれません)とCRPの検討が進みます。
主流化
主流化の議題は、COP13、14で話題となり、長期的主流化戦略が採択されたものの、その更新が求められました。事務局資料では主流化が生物多様性プランの元でかなりに程度反映されている事を明らかにしています。そのため、この議題は、
- 主流化戦略の更新が必要か
- 今後、Mainstreaming(主流化)という議題を設定し続けるべきか
- 今後、主流化に関して、何にどう取り組むか、
などの論点で、複数の意見が出されました。
議長は、意見のすり合わせが必要という趣旨で、Friends of Chair(文書をもとに議論するコンタクトグループではなく、進め方を中心に検討する会合体)の設定の可能性を示唆しました。
ところで、この議論の最中、日本からは、コミュニケーションの議題に名前だけ紹介した「だいだらぽじー」を紹介して、会場から歓迎の拍手が置きました(プレナリーの様子はYoutubeで見ることが出来ます。 動画の41分ごろ)
条約運営の効率化
この議題は、締約国会議等の会議の運営に関してどう改善するかという議題です。
先週のSBSTTAからこのSBIにかけての運営もあり、締約国からたくさんの注文が出されています。
交渉文書を期限内にちゃんと公開してほしい、途上国からの参加支援者数が少ない、参加支援者に対して立ち上がるコンタクトグループが多い、途上国から共同議長を選出すると途上国を代表して話せる人が減るから考慮しろ、コンタクトグループが夜遅くまで続きすぎ、読み合わせ(First read)に時間をかけすぎ、議題数を減らせ、6日もやるな(5日会議したら1日休みを入れろ)、交渉官の健康を考えろ(特に数の少ない途上国)、オンライン会議をやるのも良いが時差は不公平にならないようにして、SBSTTAに政治的な議題を持ち込む国が多い、CRPを議論する時間が取れてない、bracketが多くてCOPが大変、事前に交渉官向けトレーニングウェビナーを開催してほしい、などなどです(ストレートな表現にしてます)
議長は、意見のすり合わせが必要という趣旨で、Friends of Chair(文書をもとに議論するコンタクトグループではなく、進め方を中心に検討する会合体)の設定の可能性を示唆しました。
非政府主体の貢献の行方
計画・モニタリング・報告・レビュー(PMRR)のコンタクトグループでは、非政府主体の貢献についても話題になりました。
生物多様性プランを実現させるためにあらゆる社会の参画が必要という見地から、国以外の行動を惹起する仕組みが重要考えられてきました。そのアイディアは、ポスト2020枠組み交渉の時から話題になっていました。多くの国がその趣旨を理解し、グローバルレビューにも何らか活用されることが大事としつつも、現実的な仕組みとして考えた時に議論が出され、最終的には小グループで解決することになりました。拾えた論点としては、下記の通りです。
<必要性> 宣言だけで行動が伴わないことや、最悪、グリーンウォッシュに使われないか
<非国家主体からの提案の活用方法>
- 各国の国家戦略や国別報告書の中で拾えればよいのではという意見
- 国家戦略が定める優先度や関心以外の行動目標の実施も重要で、それを補完する機能もあるのではという意見
- 提案を何らか集約や取りまとめて、活用する方法があるかという意見
<提案の具体的な流れ> 活用されることにした場合、
- 情報がどこ(各国の連絡担当員(フォーカルポイント)、CBD事務局、その他)に届くのか
- フォーカルポイントや事務局はどう対応するのか(沢山来たとき対応できるのか)
国際自然保護連合日本委員会 事務局長 道家哲平
*今回の国際情報収集・発信業務は、経団連自然保護基金、地球環境基金の助成、ならびに、IUCN-Jへのご寄付を基に実施しています。このような情報発信を継続するためにも、IUCN-Jの活動へのご寄付をお願いします