前回の生物多様性条約締約国会議(=CBD-COP)はカナダのモントリオールで開催されました。モントリオールで使用される主要言語はフランス語ですが、基本的に英語はどこでも通じ、フランス語がわからなくても困りませんでした。一方、今回のCBD-COPの開催国はスペイン語圏のコロンビアです。今回、初めて英語圏外の国に来た身として、コロンビアという国で見たことや感じたことをご紹介させていただければと思います。

 

まず、入国する際から痛感したのは、英語が驚くほど通じないことです。そもそも入国審査官も英語ができない方が多く、入国の際からGoogle翻訳にお世話になりました。正直、空港ぐらい英語は通じるであろうと思っていましたが、売店でコーヒーを買うだけでもGoogle翻訳が必要です。

50,000COPのお札

次に苦労したのがお金です。コロンビアではコロンビアペソ(COP, 締約国会議 “Conference of the Parties”と同じCOPですが、会議体の略ではありません)が使用されているのですが、絶妙に金銭感覚が掴みづらいです。アメリカドル(USD)はなんとなく大体 1USD = 約150円と覚えやすいですが、1COP = 約0.035円と非常にわかりずらいです。加えて、金額表記もややこしいです。そもそも値札がない売店がほとんどで、店員と翻訳アプリを経由した会話がないと値段がわからないのですが、書いてある場合は書いてある時で頭を抱えさせられます。例えば、よくあるのは$25.000などという表記です。最初は誤字で0が1つ多く表示されていて、USDのように25.00 COPだと思っていたのですが、普通に誤字ではなく、$25.000と表記して25,000COPです。なぜ「,」ではなく「.」であるかというと、金額の桁数が多すぎるため、読む時に後続の0をあまり考慮しないからです。コロンビアのお札には「50 mil peso」と表記されています。「mil」はスペイン語で1000という意味です。ですので、「50 mil peso」のお札は50,000 COPです。つまり、この50 mil pesoのお札を出せば$25.000の商品を2つ買えることになります。最初は肌感が掴めなかったのですが、今回のように「$25.000」の商品が買いたければお札で「25」と書かれている分だけ用意すればいい訳です。従って、実質的には「.」より前の数字を見て買い物をすれば大丈夫です。桁数が日本円ともUSDとも異なり、類似性がなかったため、コロンビアの紙幣には少々手こずりました。また、金銭感覚が掴めた今でも、スペイン語で数字がわからないため、相変わらず値段を把握するのは一苦労です。

グリーンゾーンの様子

コロンビアで日本人は珍しいようです。街中を歩いているだけで色んな人に「una foto(写真を一枚)」や「selfie por favor(自撮りをお願いします)」と声をかけられます。今回のCBD-COPでは交渉が行われる会場(ブルーゾーン)だけでなく、現地の方が屋台やブースを出展しているグリーンゾーンという場所がブルーゾーンから離れたカリ市内にあります。グリーンゾーンを歩く中、ただ写真を撮りたがるだけでなく、「うちの商品と一緒に写真を撮ってくれ!」と自身の商品のPRをお願いされることもありました。日本の代表団でもなく、有名人でもないのにここまで写真をお願いされるという日本では味わえない不思議な体験をしました。

コロンビアユースとの交流を記念して撮影した写真 

最後に、コロンビアの人はとても友好的です。今回のCBD-COPでは交渉を追うだけでなく、ブースの運営にも携わらせていただきました。その結果、各国の色んな方とお話しさせていただく機会があり、特にコロンビアの方と話すことが多かったです。中でも印象的だったのがコロンビアの各地位から集まってきた若者たちです。彼らは頻繁にブースに訪れてくれ、言語の壁があるにも関わらず、お互い翻訳アプリで言語の壁を乗り越え交流しました。彼らは皆環境問題に関心があり、それぞれ異なる活動をしていました。コロンビアでの環境活動は命懸けである中、ここまで精力的に活動しているユースと交流すると、私も感化される一方で、どうすれば日本でもユースの活動を普及できるのか考えさせられます。

一般社団法人Change Our Next Decade 
豊島亮