最終日の最後のセッションでは、先住民族と地域コミュニティと金融についてがテーマのお話を聞きました。私は現在、先住民族と世界遺産の関係について研究しているため、非常に勉強になるセッションでした。

セッションの始まりには、ハワイの地域コミュニティで活動をされている方が伝統的な歌の演奏から対話が始まりました。参加者は先住民族コミュニティの代表や政府関係者、金融関係者が参加し、包括的な会話が展開されました。

特に、先住民族や地域コミュニティでは財政的な面の意識が欠如しているという知見を得ることができました。自然保護や自然との共生を長らく行ってきた先住民族やコミュニティでは、自然に対する知識が豊富にあります。そうした知識を政府や第三者に広め共有、協力してNPなどに向い活動をしていくためにも先住民族や地域コミュニティへの財政的支援や経済にそうした人々を組み込むことがこれからの社会で重要だということをお話されていました。

こうした経済的側面は私が研究している中では意識したことはなかったため、大きな気づきを得ることができました。先住民族や地域コミュニティの活動が経済的にも豊かになれば、自然保護の活動も上手くいく可能性が高まるのではないかと期待します。

最後に、セッションの終わりで先住民族組織の代表の方が仰られたまとめの一言の「先住民族の活動に参加し、そうした方々を守って下さい」という言葉が印象的だったのでご紹介します。

今まで先住民族や地域コミュニティが置かれてきた立場を考えた際、この言葉には多くの思いが詰まっていると思いました。自分たちの活動を理解してほしい、自分たちの存在について少しでも意識して欲しいという事がこの言葉から伝わってきました。これから先、先住民族や地域コミュニティがより大きなセクターになると思われます。そうした方々の存在を認識し、理解し、尊敬し合うことが第一に重要であると強く感じました。

筑波大学大学院
世界遺産学学位プログラム
森田奈那美(IUCN-Jインターン)