遺伝資源の利益を、適切に分けよう。
①「遺伝資源」「デジタル塩基配列情報」「伝統的知識」の利用から生まれる利益を適切なバランスで配分する。
②遺伝資源への適切なアクセスを促進する。
③2030年までに、「国際的なアクセスと利益配分に関する協定」に基づいた利益配分を大幅に増加する。
目標のポイント
POINT 1
遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分(ABS)は、生物多様性条約の3つの目的の1つです。遺伝資源など※を使うことによって得られた利益を、公正・衡平に分けることを目指しています。
※遺伝資源、遺伝資源に関するデジタル配列情報及び遺伝資源に関連する伝統的知識(以下同様)
POINT 2
このターゲットでは、
- 2030年までに、遺伝資源などを使うことによって得られる利益の配分を大幅に増加させること
を目的として、
- 国際的な条約などに沿って、各国で利益配分の制度を機能させるために必要な措置をとる
ことを目指しています。
POINT 3
遺伝資源に関するデジタル配列情報(DSI)は、利用した際に利益配分(ABS)をするかどうかこれまで決められていませんでしたが、利益配分の対象とすることが生物多様性条約の第15回締約国会合(COP)で決まりました。
DSIは定義されていませんが、少なくとも公的データベースに集積されているDNAとRNA配列を含むことを念頭に議論が行われています。どのような行為を「情報を利用した」とみなすかを含め、詳細はCOP16で決定される予定です。(2023年10月現在)
目標達成に向けた活動の考え方
このターゲットの達成に向けた活動の例としては、
- 国として、ABSを実施するための法律上・政策上・行政上の措置を構築する(例:ABSに関連した許可証発行のための行政措置や、チェックポイントなどの機能づくり)
- 遺伝資源などを利用する事業者や教育研究機関として、国内措置に則った運用を実施する
といったことが考えられます。
活躍が期待される人たち
この目標の達成には、各国で利益配分の制度を機能させるために必要な措置を講じること、また、それに沿って事業者や教育研究機関などが積極的に取組を行うことが期待されます。
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国
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自治体
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事業者
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非営利団体
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教育研究機関
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市民
国内での参考事例
- 国立環境研究所は、遺伝資源の適正な利用の実施を目的とし、基本方針やガイドラインを定め、ABS対応を行っています。また、所内に遺伝資源利用委員会を設置し、所内ABSルールの整備や遺伝資源の管理などの取り組みを行っています。
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ナショナルバイオリソースプロジェクト 情報センター整備プログラム ABS課題(NBRP-ABS)
日本は2017年に名古屋議定書を締結し、名古屋議定書の国内措置として「ABS 指針」(通称)が施行されました。名古屋議定書では遺伝資源の学術利用も対象となるため、研究機関でも対応が必要となりますが、そのためには名古屋議定書、ABS 指針、提供国法令への理解が不可欠です。国内では、海外産遺伝資源の取得と学術利用を推進するために、文部科学省「ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)」(2015年度から2020年度までは日本医療研究開発機構)の中に「ABS対応」課題が設けられています。本課題は2012年度から国立遺伝学研究所 ABS 学術対策チームを中心として活動しており、第5期では分担機関である東京都立大学、東海国立大学機構、三重大学、国立環境研究所とともに主に下記の活動に取り組んでいます。
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