Action
20 23
生物多様性の保全を当たり前にするために。

技術をシェアして、共創しよう。

先進国、途上国、国際機関が連携して能力開発/技術移転/科学技術協力を強化する。
政府や民間における生物多様性の解決能力、技術移転を強化し、イノベーションの創出および科学技術協力を促進する。
南南協力(途上国同士の協力)、南北協力(先進国と途上国の協力)、三角協力(途上国間に国際機関や先進国が加わる協力)などを通じて、共同での促進や、科学研究・モニタリングの能力も高める。
原文

この枠組のゴールとターゲットの野心度に見合った効果的な実施に向けたニーズを、特に途上国において満たすべく、南南協力、南北協力、三角協力などを通じて、能力の構築及び開発、技術へのアクセス及び技術移転を強化するとともに、イノベーションの創出とアクセス及び科学技術協力を促進することで、生物多様性の保全と持続可能な利用のための共同技術開発と共同科学研究プログラムを促進し、科学研究とモニタリング能力を強化する。

本文(英語)はこちら

解説
能力の構築とは、成果を得るために必要となる能力の習得や構築を行うことを指します。

目標のポイント

POINT 1

このターゲットでは、締約国やその他関係者が、KMGBFの目標とターゲットのレベル感に見合う能力や技術・ツールを確保することを目指しています。そして、そのために必要な一連のことを特定しています。

POINT 2

能力の構築及び開発は、以下を通じて行うことができます。

  • 個人(例:政策立案者・一般市民など)の知識や能力を向上させること
  • 締約国の組織能力を強化すること(例:生物多様性ガバナンスの強化・パートナーシップの強化など)
  • 実施環境を強化すること(例:政策や規制の枠組の強化・資源の動員と活用など)

POINT 3

生物多様性の損失に対処するために様々な技術が開発されていますが、多くの開発途上国ではそれらの技術を使用したり、使用し利益を得るためのスキルが限られています。そのため、関連技術へのアクセスや技術移転を強化することが求められています。

<関連する技術の例>

  • 生物多様性の空間計画と管理のための技術(例:リモートセンシング・地理情報システムなど)
  • 生物多様性モニタリングのための技術(例:DNA技術・カメラトラップ・ドローン・衛星技術など)
  • 意思決定支援技術(例:複雑なデータの集約や可視化のためのデジタル技術など)
  • 先住民及び地域社会の伝統的な技術など

目標達成に向けた活動の考え方

このターゲットの達成に向けた活動の例としては、

  • 生物多様性の保全と持続可能な利用に関する国家能力の自己評価を実施する
  • 生物多様性の損失に対処するための様々な技術の開発・強化と、そのアクセスや移転の強化

といったことが考えられます。

活躍が期待される人たち

この目標の達成には、生物多様性に関連する技術の開発などに、事業者や教育研究機関が積極的に取り組むことが期待されています。また、途上国における能力開発や技術移転などに関しては、国レベル・草の根レベル双方での協力関係が期待されます。

  • 事業者
  • 非営利団体
  • 教育研究機関

国内での参考事例

日本の大学・研究機関・博物館等は、生物多様性の研究や普及啓発を実施するだけでなく、世界の類似の調査研究やモニタリング手法開発やその実践を行う機関と協働しています。

また、日本生物多様性観測ネットワーク(JBON)は、観測の基礎となる自然史に関する知識や技術の継承とそのレベルアップを目指したキャパシティビルディング事業を始めています。観測の促進だけでなく、観測データの利活用、国際連携も視野に入れた活動を行っています。

目標や解説などは生物多様性条約事務局資料をもとに、IUCN-Jと国立環境研究所生物多様性領域がまとめました。また、記載内容は、特別な記載がない限り2023年度に参照した情報をもとにしています。

生物多様性条約事務局資料の原文はこちら

IUCN-Jと国立環境研究所は、連携基本協定を結んでいます。