実施に向けて
実施及び支援のメカニズムと実現条件
昆明・モントリオール生物多様性枠組の実施及びそのゴールとターゲットの達成は、生物多様性条約及びその議定書の下にある支援メカニズム及び戦略を通じて、その条項及び第15回締約国会議で採択された決定に従って、促進され、強化される。
この枠組の完全な実施には、ニーズに応じた、あらゆる資金源からの十分かつ予測可能で容易にアクセス可能な資金の提供が必要である。さらに、締約国、特に途上国締約国がこの枠組を完全に実施できるようにするために、必要な能力の構築と技術の移転における協力と協働が必要となる。
責任と透明性
この枠組の実施の成功には、合意された15連動的かつ周期的システムをなす計画、モニタリング、報告及びレビューの効果的なメカニズムによって裏付けられた責任と透明性が必要である。これには以下の要素が含まれる。
- 昆明・モントリオール生物多様性枠組の実施の主要な目的達成手段として、統一された様式を用いて伝達される国別目標を含め、この枠組とそのゴール及びターゲットと整合をとる形で改定され、更新される、生物多様性国家戦略及び行動計画
- 昆明・モントリオール生物多様性枠組のモニタリング枠組におけるヘッドライン指標及び適切な場合、その他の指標を含めた国別報告書
- 昆明・モントリオール生物多様性枠組への貢献を評価するための、国別目標を含めた生物多様性国家戦略及び行動計画における情報に関する世界的な分析
- 国別報告書及び、必要に応じて、他の情報源に基づく、実施手段を含む昆明・モントリオール生物多様性枠組の実施に関する全体的な進捗状況のグローバルレビュー
- 自主的なピアレビュー
- 自主的な国別レビューのための公開フォーラムの更なる開発及びテスト
- 該当する場合、昆明・モントリオール生物多様性枠組に向けた非国家主体によるコミットメントに関する情報
締約国は、必要に応じて、取組の見直しや努力量の向上を目的として、グローバルレビューの結果を、途上国締約国への実施手段の提供を含む将来の生物多様性国家戦略及び行動計画の改定及び実施において考慮することができる。
このメカニズムでは、途上国が直面する特有の課題及びそれに応じて途上国を支援するための国際協力の必要性を認識する。責任と透明性のためのメカニズムの実施を可能にし、提供された総合的な支援の全容を示すため、受領された支援の透明性に関する情報も含めた、能力構築及び開発、技術面及び資金面の支援を含む実施手段が、締約国、特に途上国締約国に対し提供される。
このメカニズムは、国の主権を尊重し締約国に過度の負担をかけることを回避しながら、促進的、非干渉的、及び懲罰的でない方法で実施される。
透明性及び責任のメカニズムに関する更なる勧告は、この枠組のゴールとターゲットの達成を目的に、必要に応じて、締約国会議によって提供される。
将来の締約国会議は、本枠組のゴールとターゲットの達成を目的に、これらのレビューによる成果等に基づき、必要に応じてあらゆる追加の勧告を検討し提供する。
広報、教育、啓発及び取り込み
以下等を通じた生物多様性に関する広報、教育及び啓発並びにすべての主体による昆明・モントリオール生物多様性枠組についての取り込みの強化は、この枠組みの効果的な実施と行動の変容を達成し、持続可能なライフスタイルと生物多様性の価値を推進するために必須である。
- 知識体系、生物多様性の多様な価値、生態系の機能及びサービスを含む自然の寄与、先住民及び地域社会の伝統的知識及び世界観、並びに生物多様性の持続可能な開発への貢献についての意識、理解及び認識の向上
- 持続可能な生計と貧困撲滅の取組みの改善、及びそれによる世界及び/又は各国の持続可能な開発戦略に対する全体的な貢献を含む、持続可能な開発に対する生物多様性の保全と持続可能な利用及び遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分の重要性についての意識の向上
- この枠組を実施するための緊急行動の必要性についての意識をあらゆるセクターと主体の間で高めること。その際にはゴールとターゲットの達成に向けた実施及び進捗のモニタリングへの積極的な関与ができるようにすること
- 的を絞ったコミュニケーションや、先住民及び現地の言語に翻訳できる資料の作成等を含む使用される用語、複雑さのレベル及び内容への調整、社会経済的及び文化的な背景の考慮等によって、この枠組の理解を促進すること
- メディア、市民社会及び学術界を含む教育機関等と共に、成功、教訓及び経験に関する情報を共有し、順応的学習と生物多様性のための行動への参加を可能にするためのプラットフォーム、パートナーシップ及び行動目標を推進又は構築すること
- 生物多様性に関する変革的な教育を公式、ノン・フォーマル、非公式の教育プログラムに統合し、教育機関における生物多様性の保全と持続可能な利用に関するカリキュラムを推進し、自然との共生に調和した知識、態度、価値観、行動、ライフスタイルを推進すること
- 生物多様性をモニタリングし、知識のギャップに対処し、生物多様性の保全と持続可能な利用を向上する革新的な解決策を開発するための、科学面かつ技術面での能力を強化するための、科学、技術、イノベーションの決定的に重要な役割についての意識を高めること
世界の生物多様性の
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