国際会議の種類と役割

IUCN-Jが関わる国際会議

IUCN-Jでは、「日本も含め世界の課題解決の一員になる」ということを念頭に置きながら国際会議に参加します。

解決には、

  • 世界の動きを知り、日本に伝えることで貢献する
  • 世界の解決策に日本からの事例やアイディアを提供し「より良いルールやツール作り」貢献する
  • 国際会議に臨む日本の参加者(例えば、環境省等の交渉官)によりよい世界全体の仕組みづくりを働きかける
  • これらの行動を加速するためのリーダーとの協力関係を構築する

など様々あります。

世界の動きを知り、関わり、「課題解決の一員になる」ためには、法律や国の方向性を左右する政策決定の動き(生物多様性条約関連会議に多い)と、政策決定をより良い方向性に誘導するために意欲的な提案・仕組みを作る動き(IUCNの会議に多い)との両方を見ることを、IUCN-Jでは大事にしています。

生物多様性条約に関する会議

主な参加者

決定方法

異論がなければ決定

主な国際会議

国際会議基礎知識:生物多様性条約に関する会議

生物多様性条約では、2年に1度開催する意思決定の場である締約国会議(COP)が最も重要ですが、合意形成過程で開かれる公式準備会合(SBSTTAやSBIなど)や専門的な会合(OEWG等)にも参加しています。
生物多様性条約は、国連のコンセンサス方式(異論がないことを持って決定)で物事を決めていきます。自然も経済も全く異なる196の加盟国が異論ないという「共通の方向性」を決める重要な会議です。
準備会合は条約事務局が位置するモントリオールで開催されることが多く、締約国会議開催国は、立候補で決まります。近年は、ラテンアメリカ諸国からまず立候補を募るといった、一地域に集中しないような開催地選びが行われています。

※昆明ターゲット決定時期についてはCOVID-19の影響により時期が異なる
※2019~2024年に関してはCovid-19の影響により上記の開催タイミング通りの実施ではありません。

WGRI

生物多様性条約第★回条約実施に関する作業部会

SBIの前身となった作業部会。COP決定に基づいて暫定的に開催されてきたが、必要性が認められ、SBIとなった。
2005年からおよそ隔年で開催され、最終回はWGRI5(2014)。

OEWG

ポスト2020枠組み(現、昆明モントリオール生物多様性世界枠組み)を交渉するために、COP14(2018年)で設置が決まった会議体。開催は2回程度が想定されていたが、新型コロナ感染拡大や交渉難航のため、2019年から2022年の間に、5回開催。

国際会議基礎知識:IUCNに関する会議

IUCNでは、4年に1度、世界中のIUCN関係者の参加を呼び掛けて開催する「世界自然保護会議(WCC:World Conservation Congress)」を開催するとともに、その準備会合の位置づけである地域自然保護フォーラムを、アジア含む8か所で開催するほか、様々な大小の会合を行っています。
WCCの意思決定は、多数決の投票で行います。その性質上、異論なしではなく、「自然保護をより前進させる対話によって提案を作り上げる」ことが重視されます。
IUCNの会議は、「同じ志を共にするものの集まり」でもあり、世界各地で、自然保護の課題に直面し、悩み、解決しようと努力する人々が集まり、連帯を確認する場(新しい人を歓迎する場)でもあるので、真剣ながらも、仲間同士といった雰囲気を大事にしています。

自然保護に関する全てのターゲットに関わる会議

正式名称

The International Union for Conservation of Nature (IUCN) XXth World Conservation Congress

日本名
国際自然保護連合(IUCN)第X回世界自然保護会議

4年に1度、IUCNの関係はすべてに参加を呼び掛けて、実施される世界最大の、あらゆる最新の自然保護をテーマとする会議です。対面参加だけでも1万人以上が集まり、最新の情報共有やツール・ノウハウを共有するフォーラムと、今後4年間のIUCN事業や予算、理事選挙などを行う、総会に分けて開催されます。

正式名称

The International Union for Conservation of Nature (IUCN) XXth Asia Regional Conservation Forum

日本名
第X回アジア地域自然保護フォーラム

WCCの前年に開催される、アジア地域のIUCN関係者のための準備会合と位置付けられます。アジア地域のつながりを深めながら、アジアから世界に発信するべきテーマ・協働のための関心の交流などが行われます。先進国から途上国、大陸国から島嶼国まで、多様な自然と、経済発展の中心を抱えるアジアの自然保護推進の大事な会議です。

保護地域、国立公園に特化した会議

正式名称

The International Union for Conservation of Nature (IUCN) XXth World Parks Congress

日本名
国際自然保護連合(IUCN)第X回世界公園会議

およそ10年に1度の頻度で開催される保護地域を主テーマにした会議です。絶滅危惧種レッドリストで有名なIUCNですが、守るためにも、生息地を基盤とした手法を大事にしています。気候変動、生態系を活かした防災、エコツーリズム、地域創生や先住民地域共同体の保全地域の尊重など、多彩なテーマで情報交流や、政策提言作りが行われます。

正式名称

The International Union for Conservation of Nature (IUCN) XXth Asia Parks Congress

日本名
第X回アジア国立公園会議

世界自然保護会議のアジア版が必要との声から、日本が第1回(2013年)をホストする形で始まった新しい国際会議です。南アジアや東南アジアは、生物多様性豊かな国であるにもかかわらず、保護地域が少なく、経済発展のための開発が続く現状です。最新の動向、アジア地域の課題の検討と提案など、能力養成を担う、アジア保護地域パートナーシップもこの会議から生まれました。

国際会議基礎知識:その他の会議

IUCN-Jでは、IUCNや生物多様性条約の会合など、フォーマットの固まった会合に対して計画的に働きかけるだけではなく、大小さまざまな国際会議に参加しています。
IUCN-Jメンバーが、独自に参加する会合なども多々あります。専門性を活かして、日本と世界の動向を多方面で把握し、IUCN-Jという一つの場で共有することで全体像を把握し、日本のあるいは日本からアジアや世界の自然保護に寄与しています。

正式名称

Asian Conference on Biocultural Diversity

日本名
アジア生物文化多様性国際会議

※2016年に1回のみ開催
生物多様性条約第10回締約国会議にて、文化と生物多様性に関する決定が初めて作られました。
人と自然の密接不可分な関係に着目することが、生物多様性の保全も持続可能な利用の推進に欠かせないとの視点から、アジア地域で初となる国際会議が、2016年10月27日~29日にかけて、開催されました。
37か国500人を超す研究者や国際機関等の関係者が集まり、事例発表や議論が行われ、「生物文化多様性に関する石川宣言」も出されています。

正式名称

IUCN Leaders Forum

日本名
IUCNリーダーズフォーラム

4年に1度開かれるIUCN世界自然保護会議(IUCN-WCC)の間に開かれるイベントとして、2022年に第1回が、2023年に第2回が開かれています。
IUCN会員(政府やNGO)や事務局、先住民地域共同体といったIUCN構成員のトップに加え、自然の保全に寄与する経済(Nature Positive Economy)をけん引しようというリーディンカンパニーのトップを招き、情報発信、リーダとの交流、ネットワーク機会を提供します。
また、若い世代による新しい発想の自然保護事業のプレゼン機会(ピッチ)など、新たなアイディアを刺激する機会にもなっています。