Action
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生物多様性への脅威を削減するために。

それぞれの地域にあった計画と管理を。

すべての地域で生物多様性に配慮した計画と効果的な管理を進める。
生物多様性の重要度が高い地域の損失をゼロに近づけるために、それぞれの地域で土地と海の管理や空間計画に参加型で取り組む。
原文
生態学的健全性の高い生態系を含む生物多様性上の重要性の高い地域の損失を2030年までにゼロに近づけるために、先住民及び地域社会の権利を尊重しつつ、すべての地域が土地と海の利用の変化に対処する参加型で統合的な生物多様性に配慮した空間計画及び/又は効果的な管理プロセスの下にあることを確保する。

本文(英語)はこちら

解説
空間計画とは、特定の目的(例:社会的・経済的・生態学的なもの)の達成をめざし、ある地域における人間の利用や活動等の分析を行い、割り当てを計画するものです。陸域の計画は「土地利用計画」、海域では「海洋空間計画」と呼ばれることが多いです。陸水域では、流域単位での計画が行われることが多いです。
効果的な管理プロセスには、環境アセスメント・戦略的環境アセスメントなどが含まれる場合があります。

目標のポイント

POINT 1

このターゲットでは、

  • 2030年までに、生物多様性にとって重要な地域の損失をゼロに近づけること

を目的として、

  • 各国の全領域が、生物多様性に配慮した空間計画や効果的な管理のもとにある

ことを目指しています。

POINT 2

陸や海の利用方法が変わったことで、生物多様性は大きな損失を受けています。1970年代以降、土地利用の変化(例:森林を農地に転換するなど)が、陸域・陸水域に対して最も大きな悪影響を与えていることがわかりました。海域に関しても、2番目に大きな悪影響を与えているとされています。

POINT 3

陸・陸水・海域の空間と資源に対する需要は増え続けており、様々な目的での利用が行われています。こうした利用と、生物多様性の保全を統合的に分析・計画・実施する必要があります。また、そのためには、その空間に関わる全ての利害関係者を集め、様々な活動の優先順位付けと割り当てを参加型で決めることが大切です。

POINT 4

空間計画を策定・実施するだけではなく、その結果、手付かずの自然が残る地域などの、生物多様性にとって重要な地域の損失をゼロに近づけることが大切です。

目標達成に向けた活動の考え方

このターゲットの達成に向けた活動の例としては、

  • 生物多様性にとって重要な地域を特定し状況を分析する
  • 空間計画等が策定されている地域の面積と、生物多様性にとって重要な地域がどのように重なっているのかなどの状況を分析する
  • 生物多様性に配慮した空間計画や効果的な管理を計画し実行する
  • 都市計画・地域計画・国土計画などを生物多様性に配慮したものにする
  • 最も身近な取組を担う市区町村の単位で、多様な主体と共に生物多様性地域戦略を策定し実施する
  • 生物多様性に配慮した空間計画や効果的な管理が計画・実行されるよう、非営利団体等から働きかけを行う

といったことが考えられます。

活躍が期待される人たち

この目標の達成には、空間計画の策定と実施という面で、国や自治体による活躍が特に期待されています。また、計画策定や実施の分析という点においては教育研究機関、計画策定や実施の働きかけという点においては非営利団体などの活躍が期待されますが、計画の策定時と実施面では全ての主体の関与と実施が欠かせません。

  • 自治体
  • 非営利団体
  • 教育研究機関
  • 事業者
  • 農林漁業団体

国内での参考事例

生物多様性に配慮する空間計画として、日本では、生物多様性地域戦略があり、都道府県市町村は、生物多様性基本法において、策定努力が義務付けられ、各地で作られています。

目標や解説などは生物多様性条約事務局資料をもとに、IUCN-Jと国立環境研究所生物多様性領域がまとめました。また、記載内容は、特別な記載がない限り2023年度に参照した情報をもとにしています。

生物多様性条約事務局資料の原文はこちら

IUCN-Jと国立環境研究所は、連携基本協定を結んでいます。