Action
11 23
生物多様性の恩恵を享受しつづけるために。

自然の恵みを取り戻そう。

「自然の恵み」の回復、維持、そして向上に努める。
自然に基づく解決策や生態系を活用したアプローチで、以下の「自然の恵み」を回復/維持/向上させる。
①大気、水、気候の調節
②健全な土壌
③花粉媒介機能
④疾患リスクの低減
⑤自然災害からの保護
<言葉の注釈>自然の恩恵
原文
すべての人々と自然の恩恵のために、自然を活用した解決策及び/又は生態系を活用したアプローチを通じて、大気、水及び気候の調節、土壌の健全性、花粉媒介、疾患リスクの低減並びに自然災害からの保護などの生態系の機能及びサービスを含む自然の寄与を回復、維持及び強化する。

本文(英語)はこちら

解説
自然の人々への寄与(nature’s contributions to people)とは、生態系サービスに類似した、またそれを含む概念であり、生物多様性が人間の福利や生活の質にもたらす全ての寄与のことを指します。

目標のポイント

POINT 1

このターゲットでは、

  • 多様な自然の寄与を復元・維持・強化する

ことを目的として、

  • 自然を活用した解決策や生態系を利用したアプローチを用いる

ことを目指しています。

POINT 2

自然の寄与には、物質的な寄与・調整サービスや、精神的文化的な貢献を含む非物質的な寄与など、さまざまな形があります。目標9が物質的な寄与・供給サービスを意識したものになっているのに対し、この目標11は、調整サービスを意識した目標になっています。

POINT 3

エネルギー、食料、素材など物質的寄与は増えている一方で、生物多様性保全が減少し続けている影響で、特に調整・文化的な寄与など、生活の中では目に見えない自然の機能が劣化しており、人間の幸福と社会的一体性に深刻な影響を及ぼしています。

POINT 4

そのため、自然の寄与の復元・維持・強化は生物多様性の保全と持続可能な利用のためにとても重要です。特に、調整・文化的な寄与は、物質的なものでなく目に見えない寄与であり、その見える化を進めることも重要です。

目標達成に向けた活動の考え方

このターゲットの達成に向けた活動の例としては、

  • 森林や都市部の緑地を増やす
  • 花粉媒介生物の保護や、必要な生態系プロセスの再生
  • グリーンインフラ、生態系を活かした防災や減災(Eco-DRR)を推進する
  • 土壌の健全性を調べ、高める農法や林業の推進

といった調整サービスを考慮した保全再生活動が考えられます。

活躍が期待される人たち

この目標の達成には、国や自治体が自然を活用した解決策や生態系を活用したアプローチを採用したり、グリーンインフラ、Eco-DRRなどの考えを用いて生物多様性に配慮した取り組みを行うなどの面で活躍が期待されています。
また、都市部にある企業が緑化を行うなど、生物多様性に配慮した取り組みを行う事業者の活躍も期待されています。

  • 自治体
  • 事業者
  • 非営利団体
  • 教育研究機関
  • 市民

国内での参考事例

環境省では、生態系を活かした防災や減災に関し、優良事例やガイド等をまとめています。
https://www.env.go.jp/nature/biodic/eco-drr.html

目標や解説などは生物多様性条約事務局資料をもとに、IUCN-Jと国立環境研究所生物多様性領域がまとめました。また、記載内容は、特別な記載がない限り2023年度に参照した情報をもとにしています。

生物多様性条約事務局資料の原文はこちら

IUCN-Jと国立環境研究所は、連携基本協定を結んでいます。