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ビジネスへの主流化

ビジネスの真ん中で取り組もう。

ビジネスにおける負の影響を減らし、正の影響を増やすことで、生物多様性リスクの低減へと繋げていく。
特に大企業、多国籍企業、金融機関などは、
①事業/サプライチェーン/バリューチェーン/ポートフォリオ の生物多様性へのリスクや依存関係および影響を、定期的に監視して評価し、透明性をもって開示する。
②サステナブルな消費のために、消費者へ必要な情報を提供する。
③遺伝資源の取得と利益配分における規則や手法のコンプライアンスを報告する。
原文

生物多様性への負の影響を徐々に低減し、正の影響を増やし、事業者(ビジネス)及び金融機関への生物多様性関連リスクを減らすとともに、持続可能な生産パターンを確保するための行動を推進するために、事業者(ビジネス)に対し以下の事項を奨励して実施できるようにし、特に大企業や多国籍企業、金融機関については確実に行わせるために、法律上、行政上又は政策上の措置を講じる。

(a) 生物多様性に係るリスク、生物多様性への依存及び影響を定期的にモニタリングし、 評価し、透明性をもって開示すること、これをすべての大企業及び多国籍企業、金融機関については要求などを通じ、事業活動、サプライチェーン、バリューチェーン及びポートフォリオにわたって実施する

(b) 持続可能な消費パターンを推進するために消費者に必要な情報を提供する

(c) 該当する場合は、アクセスと利益配分の規則や措置の遵守状況について報告する

本文(英語)はこちら

目標のポイント

POINT 1

全ての事業者(ビジネス)は何らかの形で生物多様性と関係がありますが、その関係性を当事者や関係者が認識していなかったり、情報として開示されていないことも多くあります。
事業者(ビジネス)は、生物多様性からどのような恵みを受けているか(生物多様性にどのように依存しているか)や、どのような影響を与えているかを定期的に評価し、開示し、その中で対策が進むことで、

  • 生物多様性と自社活動との関係をよりよく理解する
  • 生物多様性が損なわれると自社の事業やサプライチェーンにどのようなリスクが生じるか、生物多様性の変化でどのようなチャンスが生まれるかを把握し対策を行う
  • 企業活動が依存する生物多様性や生態系サービスが保持され、企業活動の持続可能性を高める

ことが出来るようになります。

POINT 2

上述の情報が開示されれば、当事者だけでなく、金融機関や投資家・その他関係機関もリスクやチャンスに対処するための具体的な措置を講じることができるようになります。

POINT 3

政府は、こういった評価や開示を一貫した公平なルールで実施するための、法律や政策を作り運用する重要な役割を担っています。

POINT 4

当ターゲットではあらゆるビジネスを対象にしつつ、とりわけ、生物多様性への正味の影響が大きい大企業や多国籍企業、金融機関に重点を置いています。

POINT 5

このターゲットでは、

  • 各国で事業者(ビジネス)が生物多様性への依存と影響を定期的に評価・開示することを奨励
  • 大企業や多国籍企業・金融機関の場合はそれを義務付け

する政策や法律を作り運用することによって、
事業者(ビジネス)が

  • 生物多様性に与える負の影響を減らす
  • 生物多様性に与える正の影響を増加させ、より持続可能な生産パターンを奨励すること
  • 生物多様性の損失がもたらす、企業活動へのリスクを低減すること

を目指しています。

目標達成に向けた活動の考え方

このターゲットの達成に向けた活動の例としては、

  • 事業者は生物多様性への依存と影響を定期的に評価・開示する
  • 政府は評価や開示を一貫した公平なルールで実施するための、法律や政策を作り運用する

といったことが考えられます。

活躍が期待される人たち

この目標の達成には、法律や政策作り・運用に関して国、その実施に関して事業者の活躍が特に期待されています。また、事業が生物多様性に与える影響の評価に関しては教育研究機関による更なる研究開発が必要とされています。仕組みが適切に運用できているかの監視を非営利団体や市民が行うことも重要です。

  • 事業者
  • 非営利団体
  • 教育研究機関
  • 市民

国内での参考事例

TNFD開示提言(v1)に基づいた開示に対して、開示宣言企業(TNFD Early Adapter)は世界では330社中、80社が日本企業となり、今度、事例が積み重なる見込みです。(2024年1月29日時点)

TNFD関連ツールの解説については、環境省も情報発信をしています。
https://www.env.go.jp/earth/datsutansokeiei.html

目標や解説などは生物多様性条約事務局資料をもとに、IUCN-Jと国立環境研究所生物多様性領域がまとめました。また、記載内容は、特別な記載がない限り2023年度に参照した情報をもとにしています。

生物多様性条約事務局資料の原文はこちら

IUCN-Jと国立環境研究所は、連携基本協定を結んでいます。