Action
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生物多様性の保全を当たり前にするために。

データや情報を、もっと使いやすく。

意思決定のためのデータ/情報/知識へのアクセシビリティを強化する。
生物多様性に関するデータ/情報/知識に、官民の意思決定者、教育機関等を含む実務者、NGOや、市民がアクセスできるようにする。
生物多様性の公平なガバナンスを保ち、コミュニケーション/教育/普及啓発/モニタリング/研究/知識管理を強化する。
また、先住民や地域社会の伝統的知識/イノベーション/慣習/技術は、国内法に従い彼らの自由意志に基づくインフォームドコンセントを得た場合にのみ利用できるようにする。
<言葉の注釈>インフォームドコンセント
原文
生物多様性の効果的かつ衡平なガバナンス、参加型の統合的管理を行うため、そして広報、普及啓発、教育、モニタリング、研究及び知識管理を強化するために、最良の利用可能なデータ、情報及び知識を、意思決定者、実務家及び一般の人々が利用できるようにする。この文脈においても、先住民及び地域社会の伝統的知識、イノベーション、慣行及び技術は、国内法に従って、自由意思による事前の情報に基づく同意※1を得た場合にのみ利用できるようにする。
※1:自由意思による事前の情報に基づく同意は、「事前の情報に基づく同意」、「自由意思による事前の情報に基づく同意」、又は「同意及び関与」の3つの用語を指すものである。

本文(英語)はこちら

解説
知識管理とは、データ・情報・知識を、発見・収集・整理・保管・共有・利用する過程全てを指します。

目標のポイント

POINT 1

生物多様性に関するデータ・情報・知識(以下、データなど)は、あらゆる意思決定を行う基盤となる必要不可欠な情報です。最新かつ最良のデータなどを、あらゆる人が利用できるようにする事が重要です。
このターゲットでは、

  • 生物多様性関連の政策・計画・意思決定を支援する
  • 実施の進捗状況の把握と報告をし、必要な行動をとる

ために

  • 意思決定を行う人や関係者、そして一般の人が、生物多様性に関するデータなどを簡単に利用できるようにする

ことを目指しています。

POINT 2

生物多様性に関するデータなどは、効果的な普及啓発や教育にとっても必要不可欠です。
例えば、絶滅危惧種が何種いるのかわからない状態で保全に対する取組を啓発しようとしても、なかなか効果的には進まないことが予想されます。

POINT 3

必要となるデータなどを生み出すためには、調査研究活動の拡大や支援が必要です。生物多様性に関して情報が不足している分野・地域・分類群などは何なのかを特定し、それに対する研究プロジェクトやガイドラインを確立する必要があります。

POINT 4

先住民族及び地域社会の持つ伝統知識などを利用する際には、各国での法律を守り、自由意思による事前の情報に基づく同意を得た上で利用を行う必要があります。

解説

「自由意思による事前の情報に基づく同意」とは、具体的には、ある内容(事業や知識の利用等)が先住民族などの土地、領域、資源などに影響を及ぼす恐れがある場合に、その内容に対して先住民族などが同意するか否か判断する権利/原則です。※

※参考:REDD+プロジェクト実施における「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意( FPIC)」取得のためのガイドライン 2015年3月 地球・人間環境フォーラム、熱帯林行動ネットワーク(JATAN)作成

目標達成に向けた活動の考え方

このターゲットの達成に向けた活動の例としては、

  • どのようなデータなどが不足しているのか、ギャップを特定する
  • データなどを利用しやすくするために、
  • 生物多様性観測を行う主体同士のネットワークを強化する
  • データなどの取得の機会を増やすため、市民参加型調査を推進する

といったことが考えられます。

活躍が期待される人たち

この目標の達成には、生物多様性に関するデータなどを取得・整理したり公開する主体の活躍が特に期待されています。具体的には、博物館などを含む教育研究機関や非営利団体、国などの活動が重要です。

  • 自治体
  • 事業者
  • 非営利団体
  • 教育研究機関
  • 市民

国内での参考事例

生物の標本や観察情報を世界共通で利用できるようにする仕組みの一つに、地球規模生物多様性情報機構(Global Biodiversity Information Facility, GBIF)があります。GBIFでは、生物多様性情報基盤の整備や、情報集積・解析ツールの開発などを行っています。

日本生物多様性情報イニシアチブ(Japan Initiative for Biodiversity Information, JBIF)は、GBIFに関する日本での活動を実施している組織です。
日本国内の生物多様性に関するデータの活用を促進するとともに、世界に発信することがJBIFの役目です。

具体的には、GBIFへの情報登録窓口となり、

  • 日本での標本情報・生物観察情報の公開
  • 生物多様性情報の利活用促進のための情報発信・普及
  • 自然史系博物館や生態系観測ネットワークなどとの連携
  • 種名情報の整備・発信やDNAバーコーディングの普及

などを行っています。

JBIFは、2007年からは、文部科学省(2015年度から2020年度までは日本医療研究開発機構)による「ナショナルバイオリソースプロジェクト」における「情報センター整備プログラム」の一課題として構築運用が行われています。2022年度からは、国立遺伝学研究所、国立科学博物館および国立環境研究所の3機関が協力して課題を実施しています。

目標や解説などは生物多様性条約事務局資料をもとに、IUCN-Jと国立環境研究所生物多様性領域がまとめました。また、記載内容は、特別な記載がない限り2023年度に参照した情報をもとにしています。

生物多様性条約事務局資料の原文はこちら

IUCN-Jと国立環境研究所は、連携基本協定を結んでいます。