Action
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生物多様性への脅威を削減するために。

種を絶滅から守ろう。

種の絶滅の阻止と遺伝的多様性を保護し、人間と野生生物の共存をはかる。
①種(とりわけ絶滅危惧種)の絶滅を食い止めながら、種の回復と保全を行う。
②自然が持つ適応能力を維持するために、生息域内にとどまらず動物園や研究施設などでも在来種/野生種/家畜化された種の遺伝的多様性の保存/管理/維持/回復に努める。
③野生種生息エリアと人間生活圏内の衝突を最小限に抑え、共存をはかる。
原文
人間によって引き起こされる既知の絶滅危惧種の絶滅を阻止し、また絶滅リスクを大幅に減らすための種、特に絶滅危惧種を回復及び保全し、並びに適応能力の維持のために在来種、 野生種及び家畜・栽培種の個体群内及び個体群間の遺伝的多様性を維持及び回復するために、生息域内及び生息域外保全や持続可能な管理の実践等を通じて緊急の管理行動を確保するとともに、共存に向けて人間と野生生物との軋轢を最小化するため人間と野生生物の相互作用を効果的に管理する。

本文(英語)はこちら

解説
  • 遺伝的多様性とは、同じ種内でも様々な遺伝子を持つ個体がいる状態のことです。様々な遺伝子があることで環境の変化にも適応でき、その種の生存率が高まります。遺伝的多様性は生態系の安定性を維持するため、生態系から様々な恩恵を受けている人間にとっても不可欠なものです。
  • 人間と野生動物の軋轢とは、人間と野生動物が共生する中で、特に人間の生活に悪影響が及ぶことを指します(例:野生動物による農作物被害)。その結果、人間が意図的/非意図的に野生動物に被害を与えたり、根絶することがあります。人間と野生動物の軋轢の多くは適切な計画や管理、保障措置によって緩和したり回避することができます。

目標のポイント

POINT 1

生きものの絶滅は自然現象によるものもありますが、現在は人間の活動によって絶滅率や絶滅リスクがかつてないスピードで増加し、その絶滅リスクは自然状態の100倍から1000倍と言われています。

POINT 2

このターゲットでは、

  • 人間によって引き起こされる絶滅を阻止し、特に絶滅危惧種の絶滅リスクを減らす

ことを目的として、

  • 全ての種の遺伝的多様性を維持・回復し、また人間と野生動物の軋轢を最小限に抑えるための行動を取る

ことを目指しています。

POINT 3

絶滅・絶滅リスクの世界的な増大は遺伝的多様性の低下にもつながります。全ての種の遺伝的多様性を維持・回復するために、それぞれの種に応じた管理をする必要があります。その際、その生息域内(In-situ)での保全活動も、研究施設や動植物園・水族館等での個体繁殖など双方の手法活用を検討する必要があります。

POINT 4

またその際に、人間と野生動物の軋轢を最小限に抑えるために、人間と野生動物の相互作用を適切に管理することも必要です。

目標達成に向けた活動の考え方

このターゲットの達成に向けた活動の例としては、

  • 個体数減少の原因を取り除く・減らす
    (例:漁業であれば、違法・無報告・無規制の操業をなくす・混獲を減らす 等)
  • 絶滅危惧種の生息・生育域の復元活動を通じて、個体数の維持・増加をうながす
    (例:繁殖に必要な生態プロセス(水位の季節変動等)を復元する 等)
  • 動物園水族館等で絶滅危惧種の保護増殖を行う
  • 研究施設等で絶滅危惧種の細胞等の遺伝資源を保存する

といったことが考えられます。

活躍が期待される人たち

この目標の達成には、絶滅危惧種への対策や漁業・林業の仕組み作り、技術促進を促すという面で、国や自治体の活躍が期待されています。また、絶滅危惧種の回復や、野生動物の科学的管理に貢献しうるという面で、農林漁業団体や非営利団体、市民の活躍が期待されています。

  • 自治体
  • 事業者
  • 非営利団体
  • 教育研究機関
  • 市民

国内での参考事例

絶滅危惧種の回復に向けた活動の例として、様々な団体が取り組みを行っています。

目標や解説などは生物多様性条約事務局資料をもとに、IUCN-Jと国立環境研究所生物多様性領域がまとめました。また、記載内容は、特別な記載がない限り2023年度に参照した情報をもとにしています。

生物多様性条約事務局資料の原文はこちら

IUCN-Jと国立環境研究所は、連携基本協定を結んでいます。