23の目標
目標
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都市緑地・親水地

Enhance Green Spaces and Urban Planning for Human Well-Being and Biodiversity

人間の幸福と生物多様性のための緑地と都市計画の強化

生物多様性の保全と持続可能な利用を主流化することにより、都市部と人口密集地域の緑地空間及び親水空間の面積と質、連結性、アクセス及び恩恵を持続可能な形で大幅に増加させるとともに、生物多様性に配慮した都市計画を確保することで、在来の生物多様性、生態学的連結性及び健全性を向上させ、人間の健康と福利及び自然とのつながりを改善し、包摂的かつ持続可能な都市化と生態系の機能及びサービスの提供に貢献する。
解説
緑地空間及び親水空間とは、都市部や人口密集地域の中や近辺にある緑地(例:都市公園)や、水辺(淡水・海水問わず)を指します。

生物多様性の主流化とは、生物多様性と生態系サービスが、生物多様性に依存し影響を与えている政策や社会の仕組みに適切かつ十分に組み込まれることを保証することとされています。

目標のポイント

POINT 1

このターゲットでは、

  • 特に都市や人口密集地域の緑地空間と親水空間を増やすこと
  • 生物多様性に配慮した都市計画を作り実施すること

を通じて、
生物多様性の保全と都市部における人間の健康や福利への貢献を目指しています。

POINT 2

緑地空間と親水空間を増やす際には、面積を増やすだけではなく、質や連結性の高さを意識したり、アクセス(利用のしやすさ)や恩恵を増加させることが求められています。既にある地域をよりよく管理することも大切です。

例えば、

  • 質に関しては、単一種や外来種による均質的な緑地を創出するのではなく、在来種を意識した多様な植栽を設計する
  • 連結性に関しては、新たな緑地・親水空間を、既存の緑地空間や親水空間と近接するように設計し生物が移動しやすくする

ことなどによって高めることができます。

POINT 3

自然と健康や福利との関係性については、近年自然がもたらす心や体の健康増進の関係が明らかになりつつあります。当ターゲットでは、緑地や親水空間が、最終的には人間の健康や福利に貢献することも目指しています。

目標達成に向けた活動の考え方

このターゲットの達成に向けた活動の例としては、

  • 都市部や人口密集地域の緑地・親水空間の質や連結性・アクセスに関する現状を分析する
  • 生物多様性に配慮した都市計画を作り、それに則る形で緑地・親水空間を増やす
  • 在来種を使用して緑地・親水空間を創出する
  • 既存の緑地・親水空間をよりよく管理する

といったことが考えられます。

活躍が期待される人たち

この目標の達成には、生物多様性に配慮した都市計画づくりとその実行に関して、自治体や非営利団体・市民の活動が特に期待されています。また、現状の分析などに関しては教育研究機関、緑地・親水空間の施工や提案、必要となる在来種苗の提供などに関しては事業者の活躍も期待されます。

  • 自治体
  • 事業者
  • 非営利団体
  • 教育研究機関
  • 市民

国内での参考事例

三菱地所レジデンス東急不動産など都市開発などの分野での取組み、積水ハウス五本の樹計画など住宅開発の分野での取り組みが生まれつつあります。

目標や解説などは生物多様性条約事務局資料をもとに、IUCN-Jと国立環境研究所生物多様性領域がまとめました。また、記載内容は、特別な記載がない限り2023年度に参照した情報をもとにしています。

生物多様性条約事務局資料の原文はこちら

IUCN-Jと国立環境研究所は、連携基本協定を結んでいます