23の目標
目標
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汚染

Reduce Pollution to Levels That Are Not Harmful to Biodiversity

生物多様性に害を及ぼさないレベルまで汚染を減らす

より効率的な栄養素の循環・利用等により環境中に流出する過剰な栄養素を少なくとも半減すること、科学に基づき、食料安全保障や生活を考慮しつつ、病害虫・雑草の総合防除などにより農薬及び有害性の高い化学物質による全体的なリスクを少なくとも半減すること、プラスチック汚染を防ぎ、削減し、廃絶に向けて作業すること等により、あらゆる汚染源からの汚染のリスクと悪影響を2030年までに、累積的効果を考慮しつつ、生物多様性と生態系の機能及びサービスに有害でない水準まで削減する。
解説
病害虫・雑草の総合防除とは、作物の生産と保護のための生態系アプローチです。健康な作物を育て農薬の使用を最小限に抑えるために、様々な管理戦略と活動を組み合わせます。

目標のポイント

POINT 1

このターゲットでは、

  • 2030年までに、全ての形態の汚染によるリスクと悪影響を、生物多様性などに有害ではない水準まで減らす

ことを目的として、

  • 環境中に流出する過剰な栄養素の半減
  • 農薬と有害性の高い化学物質による全体的なリスクの半減
  • プラスチック汚染を減らす・なくす

ことを目指しています。

POINT 2

汚染とは、汚染源が環境中に持ち込まれ、結果的に環境が不安定になったり環境に害を及ぼしたりすることを指します。汚染源には、化学的化合物のほか、光や音なども含まれることがあり、様々な形態があります。

汚染の種類によっては、時間の経過と共に環境や種に蓄積するものがあったり、相乗的に影響を及ぼしあうものもあります。そのため、汚染の累積的な効果や複合的な影響を考慮する必要があります。また、汚染物質は少量でも影響が大きいものもあり、量ではなくリスクや影響という視点で考えることが必要です。

POINT 3

過剰な栄養素、特に窒素とリンは、世界的に大きな影響を与えている汚染源です。過剰栄養は、長期・継続的な肥料散布や、農業や下水からの流出により引き起こされます。

POINT 4

農薬や肥料は、多くの農業システムの中で重要な役割を果たしています。当ターゲットの達成に向けた行動を考える際には、食料安全保障や生活への影響を考え、持続可能な農業・食料システムに移行していくことの一環として取り組む必要があります。

POINT 5

プラスチック汚染は、陸域・内陸水域・海域の生態系全てで起こっています。生物多様性に重大な影響を及ぼす重要な汚染の一種とみなされつつあります。また、プラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書(条約)の検討も進んでいます。(2023年12月現在)

目標達成に向けた活動の考え方

このターゲットの達成に向けた活動の例としては、

  • 環境に配慮した農林漁業を行う(例:肥料や農薬等の化学物質の適正使用・よりよい動物し尿管理・病害虫や雑草の総合防除の実施、再生型の農業水深などによる農薬・肥料の使用抑制など)
  • 生活排水や工業排水・排ガス・廃棄物の適性処理を行う
  • 汚染源となるものの総量を減らす(3Rの推進)
  • 汚染源やそのリスクに関する研究を推進し、生物多様性に与える影響を低減する方法を明らかにする

といったことが考えられます。

活躍が期待される人たち

この目標の達成には、特に農林漁業団体や事業者が汚染の防止に対して積極的に取り組むことが期待されています。街づくりや仕組みづくりなどの面で国や地方自治体、研究推進の面で教育研究機関にも期待される役割があります。

  • 自治体
  • 事業者
  • 教育研究機関
  • 農林漁業団体

国内での参考事例

IUCN-Jでは、参考事例を募集しています。

例えば、再生型の農業推進における農薬や肥料の過剰施肥抑制の取組みなどから参考事例が見いだせると考えられます。

目標や解説などは生物多様性条約事務局資料をもとに、IUCN-Jと国立環境研究所生物多様性領域がまとめました。また、記載内容は、特別な記載がない限り2023年度に参照した情報をもとにしています。

生物多様性条約事務局資料の原文はこちら

IUCN-Jと国立環境研究所は、連携基本協定を結んでいます。